第7話
「相変わらずですなー。ま、そういうツンなところも好きだぜ、とまこ」
半分茶化しているような茂木くんの態度にとまこの眉根が寄る。
以前から茂木くんのとまこへのストレートな愛情表現は周知の事実で。
クラスメイト達からすれば、今さら感は否めない。だからとまこが目くじらをたてるほどの事でもないのだけど。
「黎大、お前と違って吉田さんには常識的に羞恥心があるんだから、少しは気遣ってあげな」
茂木くんの後ろからスッと現れた声の持ち主に、ピクンと肩が揺れる。
出た。
勿論、出たのは心霊の類ではなくれっきとした人間なのだけど……。
「あ、山田さんまで嫌そうな顔するなよー」
茂木くんの情けない声音に慌ててかぶりを振った。
「嫌そうだなんて、違いますよ」
茂木くんに対して思ってはいないんです。と、はっきり言うのは躊躇われた。
だとしたら、誰に対してそうしてしまったのか分かってしまう。
「違うよな、茂木じゃなくて俺の事が嫌なんだもんな?」
わざわざ突っ込まなくてもいいのに。気付かないで鈍感なふりしてくれればいいのに。
だから頭のいい人って苦手だ。
あっさり見抜いて意地悪気な視線を向けたこの人は、遊佐くん。遊佐 希一(ゆさ きいち)くん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます