第6話
「貴重な昼休みをゾウリムシと過ごすより、私と過ごしてよ。コイバナとかしよーよ」
貴重な昼休みだからこそ、自分の好きな事に時間を使いたい。ゾウリムシ達に会いに行きたい。
でも、こんな私と仲良くしてくれるとまこと過ごす時間も私にとっては大事だ。
だから……。
「分かりました。あの子達には昼休みの残り10分で会いに行きます」
「私とゾウリムシに割く時間は全く同じ時間なんだね……」
とまこの溜息に私は聞こえないふりをした。
「ま、いいけどさ」
いつまでも尾を引かず話を切り替えてくれるとまこのサッパリした性格が大好きだ。
「そういえば、そろそろ来るんじゃないですか?」
壁の時計と教室の出入り口へと視線を向けた、その次の瞬間。
「とまこー」
騒つく昼休みの教室に、一際大きく響いた声に私達だけじゃなく数人の視線が集まる。
とまこの名前を呼び教室の中に入ってきた茂木 黎大(もぎ れいた)は一直線に彼女に向かってきた。
「……黎大、声デカイ」
ポツ、と紡ぎ落とした声は照れ隠しの為か小さく低く響いた。
照れ隠し、なのだと思う。
とまこと茂木くんは幼馴染で、少し前から付き合い始めた恋人同士でもある。
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