第4話

「動物病院なら、3丁目に最近新しくできたけど……」



「3丁目……」



小さな呟きの直後、彼女はペコリと頭を下げて俺の横をサッとすり抜けた。



「あ、おい……」



呼び掛けに振り返った彼女が、一瞬フワッと笑った。



「……あなた、いいひとですね!」



酷いカッコなのに、とても見れたもんじゃないのに、パッと花開いたようなその表情の変化は、俺の胸の奥をキュッと締め付けた。


あれは、一体何年の女子だったんだろう?


気になって仕方なくて、自分でも不思議な位その女子の事が気になって。


あの日から毎日いろんなクラスを見て回った。


灯台下暗しという言葉を実感したのはこの時が初めてだった。

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