第23話

「好きだからな!」


「好きだから……」



何故かハモってしまった。



「香奈、お前がその言葉を言ってくれるのを、俺はずっと待ってた」


「……私は、健太のたくさんいる彼女のうちの1人だって思ってたから、好きだなんて言えなかった。重い女になんてなりたくなかったから」



気楽な付き合いを望む健太の重荷にだけはなりたくなかったから。


それがこんな誤解を生んでいたなら、もっと早く伝えればよかった。


傷つくのを怖がっていないで、本気でぶつかればよかったんだ。



「どうりで、いくら好きだって言っても、お前全然言ってくれないし……本気で俺の事好きなのか分からなくなってた」


「ごめん、」


「いや、もとはと言えば、俺があんな話したからだよな。自業自得ってわけだ……って、香奈、分かってると思うけど、俺、お前以外に付き合ってる女なんていないからな?全部、ちゃんと別れてるからな?」



前のめりになって伝えてくる健太の勢いに圧倒されてしまうけれど、正直健太の言葉が嬉しい。



「あ、でも、新入社員の女の子と……」



つい零してしまって、慌てて口を閉じた。


今更なことを言って彼を責めるつもりはなかったのに。

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