第20話
「……香奈、俺、もうやめたい」
その言葉は、突然健太の口から飛び出てきた。
なんだかすごく切なくて、聞いていると胸が締め付けられて苦しくなる……そんな声音だった。
やめたい、と彼は言った。
改めて言わなくても、私との関係は終わりにしたいのだと、とうに分かっていたのに。
健太って意外と律儀なんだな。
そんな風に思いながら、健太の真剣な顔を見ていた。
「……分かってるよ。あの日、健太が帰っちゃった日にちゃんと分かった。だから、私から連絡しなかったじゃない。こんな風に律儀に終わりを告げなくても、ちゃんと分かってたのに」
1人の女に縛られるのが嫌だと宣言していた健太に、決して押しつけがましい真似はしないように、あっさりとした関係でいれるよう私なりに頑張ってきたつもりだよ?
無理に引き止めたりしないし、他の女の子を恨んだりもしない。
ちゃんと、終わりにできるのに。
でも、こんな風に言うってことは、健太を不安にさせるような言動をしていたのかな?
それなら、猛省する。
「分かってねーだろ!!」
椅子が音を立てて倒れて、勢いのまま立ち上がった健太の口から出た言葉に驚いて息をのんだ。
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