第7話

「柾田、何ボケッとしてんの?」



ポン、と頭をファイルで叩かれた。


見上げれば、眼鏡の向こうに、不機嫌な色を湛えた本村の目が真っすぐに私を見ている。



「ごめん、すぐに戻ってまとめるよ」


「……俺も手伝う。会議室でまとめた方が移動時間が省けるだろ」



そういった本村に従って、会議が行われる予定の会議室へ向かった。


コピーした資料を広げて1部ずつまとめていき、ホッチキスで留めていく。



2人でやったから、予定の半分の時間で準備は終わった。



「本村、ありがと」


「……なんか、暗いな。コピー室行ってから」


「そんなことないけど?」



会議が始まる迄の時間に少し余裕ができて、ふ、と息を吐いたところで本村が目の前に顔を寄せてきた。


至近距離に驚いて、本村から離れたけれど、勢い余って後ろへ転んでしまって壁に後頭部をぶつけてしまった。



「痛っ、」


「大丈夫か?」



後頭部を押さえて、体を起こすと、さらに近づいてきた本村の顔が間近にあった。


一瞬、息をのんで固まってしまった。


イケメンは健太で見慣れているはずなのに、本村の涼しげな目元や、キレイな肌を至近距離で見せられて動揺してしまった。


本村も、結構イケメンなんだ。


眼鏡をはずすと印象変わるんじゃないかって、そんな風に思って何の気なしに手を伸ばして本村の眼鏡に触れた。


その手を掴まれて、引き寄せられる。

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