第5話
私も今年で25歳になる。
昨今、早婚か晩婚で分かれる世の中の結婚事情。
私だって、若い頃には結婚に対する夢もあった。
健太と付き合うようになって、その夢は隠し続けている。胸の奥の方に。
結婚か……。
そういえば、同じ部署の2歳年下の女子社員が来月結婚するとか言ってたっけ。
ずっと好きだった相手と結婚できるのだと喜んでいた彼女の幸せそうな笑顔に、鳩尾辺りがキリキリと痛んだっけ。
私は、いつ結婚できるのか……って、その前に彼氏を作れってね。
健太は私が思う彼氏じゃない。
いわゆるセフレだ。
周囲の親しい人達にすら、紹介できない相手。
いくら好きだって、こんな付き合いをいつまでも続けていい訳じゃないのは分かっている。
でも。
今は、好きな人と一緒に過ごせるだけでいい。
「香奈、ワイン飲んでねーの?」
いつの間にシャワーから出てきたのか、健太が目の前にいて私を見下ろしている。
「……一緒に飲みたいから待ってた」
そういって、冷蔵庫からつまみと作っていたチーズの盛り合わせとクラッカーを取り出してテーブルに並べた。
「美味しい!」
「だな!」
健太の持ってきてくれたワインは少し度数が高かった。
仄かに熱が回って、体が火照ってくる。
気付けば健太の逞しい体が目の前にあって、ベッドの上に優しく下ろされる。
明日の朝、寝過ごしませんように……。
そう思いながら、健太の首に手をまわした。
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