第4話
「……どうだったかな?」
適当に返されたら、それ以上聞けなくなった。
「俺も、シャワー浴びてくっかな。香奈はワイン飲んでていいぞ」
私の髪を拭いたタオルをもって、部屋から出て行く健太の背中を見つめる。
無駄なものなどついていない引き締まった体。成長期はとっくの昔に終わっているはずなのに、入社時から2cmも身長が伸びたと聞いて「バケモノだ……」と言ったら、デコピンを食らった。
忙しく働く中で、毎日30分のランニングや週末のトレーニングジム通いを欠かさないといったことから、その体がキープできているのだとしたら、私もジム位通おうかなって、自らのたるみつつある腰回りを触って泣きたくなった。
そして、ふとサイドボードの空いたままの引き出しに気付いた。
中には、ダースで購入した避妊具が入っている。
不特定多数彼女のいる彼が、女の家に必ず用意しておくもの。
『万が一なんてことになったら最悪だし』
いつか本当に嫌そうな顔をしていった彼の事を思い出して、胸の奥がなんとなく苦しい。
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