第2話

健太とこういう関係になったのは、1年前の冬だったと思う。


同期の彼とは、入社式以来配属された部署が違ったから、ほとんど会うことがなかった。


そんな彼の部と、私の部署の忘年会が偶然同じ場所になった。


2次会は2つの部署の希望者がなだれ込む形で、さらに一緒の店になって。


気付いたときには、同期同士でお酒を飲んでいた。


健太と私の他に同期は2人いる。


1人は私達より2歳年上のキレイ系女子、加納屋マリエと、私と同じ部署で同い年の眼鏡男子、本村壱斗。


4人で研修時代の話に盛り上がりながら、自然と話しはお互いの恋愛遍歴へ。


語るほどの経験もない私とは違って、3人ともリア充を経験ずみで。


そんな中で、健太には不特定多数の彼女がいることを知った。



「俺、嫌なんだよね。たった一人の女に縛られるなんて」



モテる男だからこそのセリフだと思った。


マリエや本村くんは呆れてたけど、健太のことは研修時代から気になっていた私は、遊びでもいいから、健太の彼女の一人になりたかった。


そんな風に考えていたのを、健太はあっさりと見抜いていたのかもしれない。


あの日、あの忘年会の後、皆と別れた直後、「もう一杯付き合ってよ」といった健太の下にのこのこと会いに行った私を。

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