気楽な付き合い

第1話




「見ろよ、香奈の好きな赤が手に入ったから持ってきてやったぞ」



玄関の扉を開けると、上機嫌な健太の顔。


右手で持ち上げた細長い袋からは、ボルドーのワインボトルが覗いている。



「わ、これ飲みたかったビンテージものだ」



20歳でお酒の味を覚えてから、一番嵌まったのが赤ワインだった。

甘いお酒よりも、辛みや渋みを感じる方が好きで、日本酒なら辛口。


お酒のあても、自然チーズとか、たこわさとか、独特の風味のあるものを好んだ。


健太からワインを受け取り、リビングのテーブルに置いた。


健太は私の頭を引き寄せて軽くキスすると、ネクタイを弛めながら、ソファへ私ごと倒れこんだ。


仕事を終えて、お酒やつまみを持って、うちへ来る健太のルーティンのような流れ。


この後、多分このままここで、体を重ねる。

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