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打ち上げ花火が始まって間もなく、意を決したらしい伊織は飯垣の隣に立った。
一緒に花火を見上げながら伊織は何だかんだと飯垣に話し掛けてたけど、見てる限り飯垣が口を開いた様子はない。
聞いてはいるけど面倒だから返事をしてないんだと思われた。
長嶺はしっかり麻里亜の隣をキープして、時々何かを言っては麻里亜を笑わせてた。
長嶺のお陰か、麻里亜もいつの間にか機嫌を直して花火を楽しんでたと思う。
あたしはそんな四人を、少し離れた後方から花火と一緒に眺めてた。
それぞれが胸に秘めてる想いを知ってるだけに何だか複雑な気分で、どんな顔してればいいのか分からないから、少しだけ距離を取っておく方がいい気がした。
打ち上げられる花火を見ながら、彼氏と一緒に見たかったって思ってた。
今、彼氏が隣にいてくれたらどんなに幸せだろうって、無理なのは分かってるけど思ってしまう。
いつか並んで見れる日が来るんだろうかと考えて、ちょっと切なくなったりもした。
ドンッという、花火が打ち上げられる爆発音を聞く度に彼氏に会いたくなる。
夜空に花開く花火を見るにつれ、会いたさが募る。
あたしがこう思ってるくらいに、彼も思ってくれたらいいのにと思う。
彼もあたしに会いたいと思って欲しい――と、願う。
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