それぞれの道

♪〜 11時34分発ゆきみ531号新金沢行きをご利用の方は…




麻衣「見送り来てくれて本当ありがとね」


芽衣「まいち〜ん!!うぅ〜〜うわ〜ん!寂しいよ〜!」


麻衣「めいちん泣かないで〜!ありがとうね、ほんと、めいちんのおかげでめっちゃ楽しく過ごせたよ!」


芽衣「すぐ電話するからぁ〜〜あ!うぅ、、うわ〜ん!」


麻衣「私も!!」


芽衣「うぅ、、うぅッ、やばい、涙でまいちんの顔みえないようッ

鼻水ヤバいからトイレ行ってくる~ッ!!」


めいちん、ありがとう、、めいちんと親友になれて本当に良かったよ


隼人「まじで向こう行って俺のこと忘れんなよ」


麻衣「隼人!、、そんなことしないよ、遠距離になっちゃうけど、、」


隼人「心配すんな!お前がうざ〜い!ってなるまで電話もメールも送りまくるからよ!(笑)」


麻衣「なにそれ〜!もう(笑)でも電話じゃ、こうやって手繋げないね」


隼人「ッ、、別に二度と会えなくなる距離じゃねーんだし、いつだって会いに行ってやるよ」


麻衣「うん、、、」




父「麻衣〜!そろそろ行くぞ〜!」


麻衣「はーい!」



麻衣「じゃあ、行くね?」


隼人「わかった」


麻衣「電話する」


隼人「俺もする」






繋いでた手を離した


温もりを失った指先に


冷たい風が突き刺さる





どんなに離れても


私達なら大丈夫だよね?





切なさを押し殺した彼の屈託のない笑顔が


胸を締め付ける


私もそれに応えるように精一杯手を振る




プルルルルルルルルルル


ファーーーーーーーン



窓の向こうの小さくなっていく彼を見ながら


大丈夫。私なら大丈夫。私達なら絶対大丈夫。


って何度も言い聞かせた。


まだまだ数少ない人生経験だけど


その中でも、感じたことのない感情が私を襲う。


離れ離れになるのが悲しいのか

あんな表情を彼にさせてしまっている罪悪感なのか

これからの新しい生活への緊張感なのか


それでも、私は二人の未来が重なることを信じて疑わなかった。


父「麻衣、弁当食べるか?」


麻衣「…お腹すいてない」


父「麻衣の好きな甘い卵焼き入りだぞ~」


麻衣「…食べる」


父「おう!食べな」

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