第4話

「プロポーズなの?それ、」



向かい合うデスクで、顕微鏡を覗き込む同僚の

宮ねーこと、宮前 星良(みやまえ せいら)から発せられた言葉に、ぽかんと口を開けた。




「は、?」



蓋の開いた血液の入った採血管を、もう少しで落としてしまう所だった。




「なに、その顔。白癬菌より変な形態に崩れてるよ?」




顕微鏡から視線を私へ移した宮ねーが、くすくす笑う。




間抜け面だと称されても仕方ない。




ていうか、水虫以下の私の顔って一体。




一番あり得ない解釈に、他にどんな反応を返せたというのか?




「宮ねー迄、なんの悪い冗談よ」




採血管に取り敢えず蓋をして、試験管立てに戻した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る