第52話

「……それ、嘘だったら許さないから」

「大丈夫だよ、嘘じゃないもん……」

「あつきー、ここにいたのかよ。それならわざわざ待ち合わせに別のところにしなくても……」

「あ、やべ」

「矢部……」


声のする方を見ると、そこには男3人がわたしたちが座っているテーブルに向かってぞろぞろ歩いてきた。その中にいたのが、わたしが危惧していた人物だった。


やっぱり、いるよね。

これまではわたしが察知したら逃げまわっていたから、顔を合わせるのは本当に久しぶりだ。


そして、わたしがその男の名前を思わず呟いてしまったときの、なるの眼光の鋭さよ。

怖い。怖いけど……

どんだけわたしのことすきなの。不覚にもきゅんときちゃう。




「須崎? なんでここに」

「おれが話すことあったから呼んだんだよ。でももう終わったしそろそろ行こうと思ってたのに……じゃ、おれ行くわ」

「あ、うん」

「いや、待って待って。双川もいるし、よかったらみんなで……って、だれ?」


私服の中にひとりだけ青のブラウスにアイボリーのベストの制服を着たひとーーつまり、高校生の存在に気づいたらしい男3人組のひとりが言った。

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