第42話
最寄り駅に着き、電車から降りると、さすがに学生はもういなくて、比較的静かだった。
「……ねぇ、なる」
数歩先を行く彼を呼ぶと、振り向いてくれる。
「なに」
「すきだよ」
あぁ、全身が心臓になったみたいにばくばくしてる。
夏だからただでさえ蒸すのに、尋常じゃないくらい顔が暑い。
今が夜で本当によかった。
「……あっそ」
ここまではなんとなく予想できた。だから今度は拗ねないでいてあげる。
「きみのお望み通り、わたしから言ってあげたんだから、責任とってよ、ね……」
わたしがそう言い終わるのが先か、なるがわたしを引き寄せてあのときと同じことをした。
「遅いんだよばか。ばーか」
「なっ、う、うるさい。てか相手の許可なくキスするな」
「されたかったくせに」
「そんなことないもん」
「まぁ、いいよ。責任なんていくらでもとってやる。もとより、一生手放すつもりなんてないから、覚悟しておけよ」
そう言った彼は、今までに見たことのない顔で笑った。
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