第41話
「……」
わたしが返事をする前に電車がやってくるので乗り込む。超満員ではないけれど、座れないくらいには混んでいた。出入り口付近に立って、そのまま揺られる。
「……わたしね、小さい頃から自分が初めて告白したひとと生涯を添い遂げるのが夢だったんだ」
発した声は電車の走行音などで相手に聞こえてるか聞こえないかくらいの声量になってしまったが、残念じゃん叶わなくて、と返されたのでどうやら届いていたらしい。わたしはそのまま続ける。
「初めての彼氏はたしかにね。でも、自分から告白してないから」
「……それで」
「わたしも、すきなひと、いるんだけどね、そのひとはわたしと最後まで一緒にいてくれるのかすごく気になって、なかなか言い出せないの。なるはどう思う?」
「……いいんじゃない」
「え?」
「待ってると思うけど」
「そうかな? 意を決して言ったあとにこっぴどく振られたりしないかな」
「しないでしょ、たぶん」
たぶんって。もう、そういうところだよ。
ここまであからさまな会話してるのが、お互いに意地を張ってるわたしたちらしいかもしれない。
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