第40話
「……前にさ、なるがすきって言うひとのこと話してくれたでしょ」
「うん」
再度駅のホームで電車を待つ。
さっきとは違う層のひとたちが、やってくるそれを待っているけれど、今度のわたしは、その視線は気にならなかった。
「そのひと、どんなひとなの?」
「ただのばか」
「なっ……」
ためらうことなく直球で言ったよ、こいつ。
「……へ、へぇ。頭が悪いとか?」
「いや、成績は普通なんじゃない。とにかく超鈍感だから。体のラインとか肌が出るような服平気で着るし、おれといるのにほかの男の話もするし」
「それは……」
たしかに言われてみれば、スカートはタイトな方だし、両サイドにスリットが入ってるから露出してないってことはないけど、こんなのささやかなおしゃれじゃん。
「おまけに勝手に拗ねて一緒に出かけてる途中でどっか行っちゃうし。ほんとばか」
それは、本当に悪かったと思ってるよ。
「けど、そんなやつをいつまでも忘れられない自分が、一番ばかなんだよな」
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