7月 雨地

第37話

「やっぱり須崎じゃん。高校のとき1回会ったぶり?」


わたしに声をかけてきたのは、中学のとき、わたしがなるにキスされたところを目撃して、いろんなひとにバラされるのがイヤならあいつの彼女になれと脅してきた元クラスメイトだった。


「あー、うん。そうかもね」

「あれ、もしかして新しい彼氏? あいつといつ別れたんだっけ?」

「いやー、いつだったかな。向こうにも新しく彼女できたって聞いたし、今さら蒸し返さなくても」

「悪い悪い。さすがに空気読めない発言だった」

「ごめん。わたしたち急ぐから〜」

「おー。あとで須崎のSNS見つけていいねするわ」



わたしは、黙り込むなるの手を引いて、その場から離れた。

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