5月 新緑

第9話

雨が降ったと思われるような、ほこりくさい感じ。それをほんの少し覚えながら、苦い再会を果たしてしまったあの日。わたしの心の底で頑丈に鍵をかけて封印していたはずの記憶がこじ開けられて、簡単によみがえってしまった。

中二病風にいうならば、敵陣の思わぬ仕掛けに対応できず不覚にもアンロックされた感じだ。




*




あれは、わたしが中学3年、向こう(3人称の彼という表現ですら、妙に意識しているようで使えない。どのみち、意識していることに変わりはないのだけれど……)が中学2年のときのこと。


お昼休みが終わり、全校集会が行われたあと、委員会活動の時間になった。

わたしが当時参加していた委員会は、その日、やるべき業務はある程度決まっているのにもかかわらず、なかなかスムーズに進行していかなかった。


そのせいで、定刻通りには終わらず、生徒会の承認をもらわないといけない書類の提出に遅れてしまった。


生徒会は、そこまで厳しいという評判はないけれど、遅れた手前、行きたくないひとも多数。わたしもそのうちの一人だった。

見苦しい押し付けあいが始まりそうになったので、公平にじゃんけんで提出に行くひとを決めることに。その結果、わたしが行くことになった。

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