第13話
部活が終わって、片付けを即効で終わらせ、急いで駅のいつも待ち合わせているところへ行く。だけど、何分たっても、彼はやってこない。もうすぐで、いつも乗る電車、きちゃうのに。心配しているあたしをよそに、彼から電話がかかってきて、今日はホームで待ち合わせしようよって、メールしたよ? なんて言われて、そういうことは早めに言ってよね、と少し怒りながらホームへ行くと、にこにこした彼がそこにいた。
「やっときたな、優莉藍」
「やっときたな、じゃないよ!あたしがメールあんまり確認しないこと、わかってるでしょ…」
怒り口調の、あたしをよそに、彼はあたしの後ろに回り、首元がひんやりと、冷たくなるのを感じる。
「今日くらい、メール、ちゃんと見てくれてもよかったんじゃない?」
「へ…」
だって、今日は、優莉藍の誕生日だろ? そう言って彼はあたしに鏡をよこしながら、また笑った。受け取った鏡で確認すると、ネックレスがきらきら、輝いている。メールも確認すると、2件きていて、今日はホームまで来てね、というものと、誕生日おめでとう、というものだった。
「ネックレスも、安物だし、まだ、高校生だからさ。こんなことくらいしかできないけど…」
だから、今後、期待してもいいから、そう言ってくれるずるがしこい彼に、じゃあ、これからも期待してます、なんて、泣きながら言ったんだ。
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