第4話
合コンの会場になっているカラオケ(定番の)で、あたしと希美子以外のメンバーは揃っていた。おせえ、一言呟いた翼くんに、希美子が怒る。「仕方ないでしょ、優莉藍が遅かったんだから!」
結局はあたしのせいにするのですか、希美子ちゃん。彼女の言葉に涙目になりながら、店内へ入る。それからは翼くんの隣に誰が座るのだ、という争奪戦が繰り広げられたのは、言うまでもない。
「ここは公平にじゃんけんしなさいよ!第一、翼の隣に座ったところで、ずっとしゃべれるわけじゃないんだから…」
希美子は呆れている。あたしも苦笑する。翼くんは、我関せず、といった感じで、どっしりと座っている。その状況を見て、翼くん以外のバスケ部は、ため息をついていた。
「やっぱり、小林以外に、興味はないんだな…」
「そんなことないよ。あたし、翼くんよりも、中野くんとか、宮島くんのほうがかっこいいと思うもん」
あたしが、落ち込んでいる彼らにねぎらいの言葉をかける。すると、そう? なんてまんざらでもないようす。気を取り直してくれたのなら、それはよかった、なんて思っていると、アンタは何をしにきたの、と希美子に言われた。そうだ、自分の目的を果たさなくては、この合コンを開いた意味がなくなってしまう。せっかく、希美子と翼くんがセッティングしてくれたのに。
「ね、ねえ、藤ヶ谷くん、となり、座ってもいい?」
あたしが訊くと、彼はいいよ、と優しく言ってくれた。そんな彼の隣に、そっと腰掛ける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます