第4話

なにも云えなかった。


母がそんなことしてるということも、その相手が、こいつの親だということも。


すべてが、信じられなかった。信じたくなかった。








「だからさ…榎本?俺にお前の自由をくれよ」


彼は背筋がゾクリとするくらいきれいな笑みであたしにそう吐いた。









―――…



「静かにしててね?誰かきたら…困るでしょ?…まぁ、俺は別に構わないけど…っ」


「ふっ…、んあっ…!」




こうしてあたしは彼…柿崎に自由を奪われた。


母親の不倫も、柿崎に純潔を奪われたことも、今のあたしにとってはもうどうでもよかった。

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