海だけが見ていた

第13話

「…もう、終わりだね」


「うん…」



あたしたちは、禁忌を犯した。


それに終止符を打つため、今日こうして2人で海へやってきたのだった。




「…どうしよう。 あたし、今日で終わりになんかしたくないよ…」


「そんなの…俺だってそうだよ…」



暗くなった海辺。


季節は冬で、こんな寒い場所に来てる人なんて誰もいない。


涙が溢れて止まらないあたし。


あなたはあたしの瞳から溢れる涙を、舌で拭って抱きしめた。




「…最後にチュウしよっか」


そう言ってあなたがあたしに近づき、あたしはためらうことなく唇と唇を重ねる。


このまま時間が止まればいい。


あたしは何度もそう思った。





海だけが見ていた



(家に帰ったら、また元に戻るからな)

(わかってるよ…お兄ちゃん)

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