さよならまであと3秒
第12話
「…心の準備をしていてください」
そんな最低なセリフを吐き捨てて医者と看護師は去っていく。
バカじゃん。
俺の大切な人がこの世から去っちまうっていうのに、簡単にそんなセリフ吐くなんて。
人が死ぬというのをなんとも思わないような医者。
「ごめんね…あなたと一生を過ごすことができなくて…っ」
「いいんだよ…もう、いいんだ…。
お前は充分、生きてくれたじゃねぇか…!」
ベッドに横たわる君は、か細い声で、俺に話す。
君の手を握ればもう冷たくなり始めていて、もうすぐ死ぬんだ、ということを嫌でも知らされた。
君の周りには、君の家族と、俺がいて。
俺が思いっきり手を握っても「痛いよ」なんて一言も言わないで。
涙を流して、俺を見つめる。
「もう…お別れ…」
さよならまであと3秒
(俺…お前の分まで生きるから…!)
(向こうで…待ってるね…)
ピ―――――
切なく、寂しく機会音が鳴り、君の手がクッタリと動かなくなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます