さよならまであと3秒

第12話

「…心の準備をしていてください」


そんな最低なセリフを吐き捨てて医者と看護師は去っていく。




バカじゃん。


俺の大切な人がこの世から去っちまうっていうのに、簡単にそんなセリフ吐くなんて。


人が死ぬというのをなんとも思わないような医者。






「ごめんね…あなたと一生を過ごすことができなくて…っ」


「いいんだよ…もう、いいんだ…。

 お前は充分、生きてくれたじゃねぇか…!」



ベッドに横たわる君は、か細い声で、俺に話す。


君の手を握ればもう冷たくなり始めていて、もうすぐ死ぬんだ、ということを嫌でも知らされた。



君の周りには、君の家族と、俺がいて。


俺が思いっきり手を握っても「痛いよ」なんて一言も言わないで。



涙を流して、俺を見つめる。






「もう…お別れ…」




さよならまであと3秒



(俺…お前の分まで生きるから…!)

(向こうで…待ってるね…)


ピ―――――

切なく、寂しく機会音が鳴り、君の手がクッタリと動かなくなった。

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