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第6話
白紙。
回答用紙でも、なんでもない。
あたしと先生の思い出。
先生に伝えたあたしの「好き」はね、先生には伝わってなかったんだって。
「…俺、結婚するんだ」
そう言って笑う先生が許せなかった。
あたしの気持ち、わかってるんでしょ。
本気なんだよ?あたし、先生に。
「…あっそ。 あたし幸せ祈らないよ」
すぐ別れちゃえ。
その気持ちでいっぱいだった。
「あのな、お前の俺に対する気持ちは“憧れ”なんだよ」
「憧れなんかじゃないもん…」
「違うの。憧れなの。わかりなさい」
「わかんないよ…先生のバカ」
「なっ?!」
そう言って先生と一緒にいた科学準備室を出て走り出した。
屋上で空を見上げながら今までのことを思い出していた。
先生との思い出、たくさんあった。
…だけど、先生に気持ちが伝わってないのなら、あたしは諦めるしかない。
結婚する先生なんてもう知らない。
だから、あたしは白紙にするんだ。
先生との思い出を。
そしていっそ、先生という人のことも白紙にしてしまうんだ。
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(お前、こんなところにいたのか)
(あの…どちら様ですか?)
(…はい?)
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