砂浜に描いたLOVE

第5話

彼と付き合って3年が経つ。


もう「好き」の言葉も彼は言ってくれることなどなくなった。


あたしはまだ…彼のことを思っているのに…。


でも、もう彼から愛の言葉を聞けないのは悲しい。


決めたんだ。


彼とはもう終止符を打つって。








数日後。


あたしは決心した「別れ」を彼に告げようとした。




「…あのね」


「海行かない?」


「え…?」


「海だよ、海。 こっから一番近いところに」


「え、あ、あの…」


「いいから。行こ」



あたしは彼の強引さに負けて海へ行くことになった。



海に着いてから、あたしははしゃぐ。




「わー! やっぱキレイだね、この辺の海って」


「だな~」


ロングスカートが濡れないように裾を手で持ち、裸足で海へ入る。



「うわっ、つめたーい」



やっぱり好きだな、海。


自然と笑顔がこぼれちゃうもん。


そう思いながらしばらく海の中に入っていた。




「…ねぇ、こっちきて」


彼が急にあたしを呼んで、彼の方へ向かう。



「なに?」


「下見て」


「…っ」



あたしは言葉が出なかった。


砂浜に小さく、でもくっきりと「LOVE」と書かれていたから。


下見てって言われなかったら、絶対に気づかなかったよ。





「…ごめんな。 俺さ…お前と付き合って3年経つだろ?だから“好き”なんて言わなくても思い伝わってると思ってたから…。今日のお前なんか元気なかったし、ちょっとでも元気出るかなって思って」


「…あたしこそ、ごめん」


「え?」


「あたし、あなたから“好き”って言ってもらえないのが悲しくて…本当はまだ好きだけど今日、別れようって言おうと思ってたの…」



あたしの目から、自然と涙がこぼれる。





「ごめん、本当ごめん。 これからはちゃんと“好き”ってお前に伝えるからさ」


「うん…っ」



あたしは彼の胸の中で、たくさん泣いた。





砂浜に描いたLOVE


(今度来るときは、水着持ってこようか)

(…あたしが貧乳だってわかってて言ってるでしょ)

(だからタンキニ着ろってこと)

(…最低)

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