シロップだらけのホットケーキ

第3話

あの頃は楽しかった。


ホットケーキをお母さんに作ってもらったら、必ずと言っていいほど大量にシロップをホットケーキにかける。


シロップだらけのホットケーキ。


結局、甘すぎて最後まで食べきることなんてできなかった。


だけど、あなたはあたしの残した分まで食べてくれたよね。



「おれね、甘いのだいすきだから」


そう笑って。








今はホットケーキなんて食べることはほとんどなくなったし、あなたと話すことさえもなくなった。



…だけど。


高校3年の春、あなたと同じクラスになって隣の席になったとき、



「…ねぇ、また作ってよ」



昔の面影が残ったその笑顔で言う彼が、とても愛しいと思った。




“また作ってよ”


何を作って欲しいなんて言わなくても、あたしにはわかるわ。




シロップだらけのホットケーキ


(…あ、でもあたし家庭科2だった)

(あはは…)

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