昇降口に着き、靴を履き替えていると「あの…三神さんですよね？」と、見知らぬ男の子が私に話しかける。

「そうですけど…あなたは？」

容姿からして、制服を着ていたのでこの学校の生徒だという事はわかった。

「僕…崎本光(ｻｷﾓﾄﾋｶﾙ)って言うんです。　今日、これから時間ありますか？」

「え…」

「あっ、あたしとは用事ないんで、この子お貸ししますよー」

私が断ろうとしたのをさえぎって、美和子が話す。

しかも。

「あたしとは用事ないんで、この子お貸ししますよー」って。

思いっきり嘘じゃんか。

そして私は物ではないっ。

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