第19話
式が始まるまで、体育館で待機していると、クラスメートの男子である秋元くんが近寄ってきた。
「本条。これ」
そう云って、彼はあたしに紙切れを差し出した。
「え?なに?」
「なんか、兄キが渡しといて、だって」
「兄キ?秋元くんって、お兄さんいたんだ…」
「は?知らなかったのかよ。彼氏の家族構成」
「彼氏…?あたし、彼氏なんていないよ?」
「…は?!じゃあ兄キ嘘ついたのかよ…」
「と、とりあえずこれは受け取っておくね」
「あぁ。そうしといてくれ」
そうして秋元くんは自分の席へと戻っていった。
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