第9話

「なんで謝るんだよ。茉吏子は悪くない。…だってさ、そいつがドタキャンしてくれたお陰で、俺と茉吏子はこうやって会って、話して、一緒に過ごすことができたんだから。少しは茉吏子の彼…いや、元カレに感謝しないとな」


そう云って類さんはまた笑った。



類さんの笑い方、なんか好きだなぁ。どこか惹かれて、思わず見とれてしまう。








「…そんなに見んなよ。照れるだろ」


そう云って類さんは手で顔を隠す。



「…あたし、類さんの笑った顔、ものすごく好きですよ?」


「…」


「最初は睨まれちゃって怖かったけど…、笑った顔を見たら…優しい人なんだって、すぐにわかりました」


「…だから、俺は睨んでないって」


「あ、そっか(笑)」



そんな他愛もない話をしている間に、注文していたものが運ばれてきて、あたしはそれを口に運ぶ。




「おいしい?」


類さんはタバコに火をつけ、一息吸ってからあたしに問う。

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