第6話

「まぁ、そんな感じで…」


「悲しいことの連続って云ったもんな。…じゃあさ、俺と過ごそうよ。俺も暇しててさー。どうせ行くアテもないんだろ?」


「…」


「よし、決定!」



あたしが無言でいると彼はそれを了解と受け取り、今夜は彼と過ごすことになった。












「…君、名前は?」


「名前を聞くときは先に自分が名乗るものですよ?」


「あ、そっか。俺は類(ルイ)。君は?」


「茉吏子…」


「茉吏子か。じゃあ、改めてよろしくな」


そう云って。彼は笑った。

さっき見た顔からは想像できない笑顔で、あたしは不覚にもドキッとしてしまったんだ。






「よろしく…」


あたしは曖昧に笑って言葉を返すと、「じゃ、行こうか」と手を引かれる。

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