14

「ぐすっ…飛魚さん…飛魚さん」

「サヨリ…」


涙を拭って顔を上げると、どちらともなく視線を絡め、そっと唇を重ねた。先程とは違い優しいキスをする飛魚さん。


「んっ…ッ…」

「ハッ…サヨリ……」


互いが互いを求める様にキスをすると、そのうち飛魚さんは私の身体に触れ、私はそのまま押し倒された。


「あっ…飛魚さ」

「サヨリ…俺、もう」


刹那そうに顔を歪める飛魚さん。初めて見るその顔に私の胸がトキめいた。


飛魚さん、可愛い過ぎるよ!


「い、いいよ。飛魚さんの好きにして……?」


自身の腕を飛魚さんの首に回して誘ってみると、飛魚さんは困った様に笑った。


「サヨリ……」

「飛魚さんだったら大歓迎だよ!」

「あんがとよ。サヨリ、大好きだ」


そう言って飛魚さんは私の首筋に顔を近付けキスをした。


嗚呼、私…今すっごく幸せ!!


その時、ふとママの最期の言葉が頭に浮かんできた。


『サヨリ、──────』


「あっ。思い出した!」

「ん?サヨリ、何を思い出したって……」

「男はみんなケダモノよ…だっ!!」

「なにっ!?」






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恋する魚 冬生まれ @snowbirthday

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