13

「何してんだよ、大丈夫か…!?」

「あ…うん、大丈夫。で、でもそれだけの理由で?」

「おぅ。それだけの理由だ!」


あっけらかんとした返答に素直に喜べない。


「どうした、喜ばないのか?」

「だってぇ……」


あっ、また涙が込み上げてきた。


そりゃそうだよ。喜べる筈がない。私の事を好きでもなんでも無い飛魚さんと付き合うなんて……。


「……サヨリ」


落ち込む私に飛魚さんが顔を覗いて呟いた。


「なぁ、サヨリ。俺は嬉しいぜ?」

「えっ…」

「お前の事だから、てっきり違う奴ともうしてんのかと思ったからな」


照れくさそうに顔を背ける飛魚さん。


「だからよ、その…娘としか見ちゃいけないと思ってたんだ」

「そ、それって……」

「あぁ。好きだよ、サヨリ」


真剣な眼差しで初めて言われた愛の告白。ママに向けていたあの時の顔で……。


「と、飛魚さ~ん!!」


私は胸に込み上げてくる感情に思わず大泣きして飛魚さんに抱きついた。飛魚さんは、そんな私をそっと抱きしめる。

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