12

「どうしてファーストキスならいいの?」

「んー?それは……」

「処女好きとか?」

「何処で覚えて来んだよ、そんな言葉……」

「百戦錬磨のメダカちゃんが言ってよ?」

「はぁ…最近の娘はマセてんなぁ。いや、そうじゃなくて」


飛魚さんは、ひとつ咳払いをしてから話を元に戻した。


「ファーストキスの件についてだが…」

「うん」

「頼まれたんだよ!」

「誰に?」

「お前のママにだ」

「マ、ママに…!?」


────これは、数ヶ月前の事。


「……飛魚さん。娘の事で、もう一つお願いが……」

「なんですか?」

「サヨリ…あの子は私に似て男癖が悪いかもしれないから、もしサヨリに好きな人が出来たなら飛魚さんが見定めて欲しいの!」

「はぁ…別に良いですけど」

「本当?」

「はい。ただ、見定めとはどういった様にすれば……」

「そうね。それじゃあ────」


そういったママとのやり取りを教えてくれた飛魚さんは、人差し指を掲げて私に告げる。


「と、言うわけで。お前のママの遺言通り、ファーストキスをした相手との交際なら認めるとの事だ!」

「ズコー!!」


思わずサッカー選手顔負けのヘディングを床にかましてしまった。


アイタタ…額が割れる。

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