第35話:大地の黄色、アースマカイザー誕生!
大地の元素の力を求め、魔界の砂漠を訪れた俺達モンスターメイドコマンドーズ。
着いた早々に、三名の脱落者を置いて黄金の砂漠を進む俺達であった。
古参ヒーローの探検隊の番組より前途多難だよ!
洞窟とか原住民が出てくるのか?
「まあ、直に追いかけて来るでちゅよ」
「懐かしいですね、この砂漠の行軍訓練♪」
「俺も、以前だttらヤバかったと思う」
ヴィクトリアさん、クーネさん、メーアさん。
三人とも強いモンスター娘なんだが、まさかのダウン。
「マミーラさんは、ここが地元なのかな?」
「はい、観光スポットや私の実家にご案内いたしましょうか♪」
「いや、寄り道してる場合じゃねえでちゅよ?」
「確かに、大地の力が手に入るモンスターを狩らないと」
「え~~? ピラミッド観光とか楽しいですよ~♪」
「いや、ピラミッドと砂漠以外に観光名所がねえでちゅ!」
「酷いです、砂風呂温泉や岩盤浴も名物ですよ!」
「水がコップ一杯で、魔界金貨一枚はぼったくりでちゅ!」
「うん、相当アネットさんも嫌な思い出があるんだな」
わいわいがやがやと駄弁りつつ、太陽が照らす砂漠の道を行く。
西遊記とかなら悪い妖怪とかが襲い来る場面だ。
「ここら辺は治安は、大丈夫そうだね?」
「ぶっちゃけ、強盗するようなコンビニもないでちゅ」
アネットさんが不満を漏らす。
こう言う所に来ると、コンビニのありがたみがわかるな。
砂漠でコンビ二の営業は大変そうだけど。
オアシスの周りには、ミイラ達の村があった。
黄土色の石造りの建物が多い、整地はされてない。
道路作ろうよ祖母ちゃん、公共事業大事だよ。
「ここ、村に一件だけの飲食店でちゅ」
灰色の石のテーブルと椅子、客も店員も老若男女皆包帯を巻いたミイラ人間。
「姫様、そちらのお方はもしや?」
黄色い服に赤いエプロンを着た素顔率が高い褐色肌のおばさんミイラ。
多分この店の女将さんが俺達の所に来て尋ねる。
「この方こそは我がファラオ、お忍びで訪れた王子殿下です後はわかりますね♪」
マミーラ猿投顔でおかみさんに釘をさす。
おかみさんミイラは黙ってうなずき、俺を見ると笑顔になった。
「コシャリ三人前と水を、お代はこれで」
「か、かしこまりました!」
アネットさんがチップ込みで銀貨五枚で先払いする。
俺達は魔界で食うエジプト料理で小腹を満たしてから村を出た。
空を見るとふらふらと飛び、俺達の傍に降りて来るブラックドラゴン。
メーアさんだった、彼女の頭からヴィクトリアさんとクーネさんも降りて来る。
「合流しました、魔力を下さいませ勇太様!」
「お疲れ様、メーアさん」
ドラゴン状態のメーアさんの顎に触れて魔力を流し込む。
「は~~~~、疲れが取れます~~~♪」
俺の魔力を吸い込み、人の姿に戻るメーアさん。
「メーアさん、ご苦労様でした」
「いや~、涼しかったよメーア♪」
ヴィクトリアさんとクーネさんが笑う。
「お二人共、今回だけですからね? 貸しですよ?」
メーアさんが二人に呆れる。
「良し、全員揃ったな」
「やれやれでちゅね」
「ここが、高レベル魔獣の出現区域ですよ~♪」
どうやらこの砂漠の中にある、黄色い岩山の渓谷がゴールらしい。
地鳴りが響き、砂漠の地中から巨大な黄色いコガネムシが出現した!
「出ました! あれこそこの地における大地属性の王、アーススカラベです!」
「いや、スフィンクスとかじゃないのかよ!」
「スフィンクスは光属性です~~!」
「く、くさいでちゅ~~!」
「私も耐えられませんわ!」
「勘弁して~~~!」
「気絶させていただきます」
飛び出して来たアーススカラベの初撃は避けた俺達。
だが、マミーラさんと俺と一体化してるリータさん以外のメイド達はスカラベの臭いにダウンした。
「ああ、マミーラさんは皆を頼む! 魔界チェンジ!」
「イエス、マイfラオ!」
俺は一人、イフリートダークマカイザーとなり空を飛んでスカラベを追う。
スカラベは何と、太陽から光を集め火の玉を作り飛ばして来た!
「ちいっ! こっちよりヒロイックな技を使いやがって!」
『主、吸収できます!』
「よっしゃ、その技全部食らってやるぜ!」
スカラベの投げた火の玉を受けて吸い込む、お日様の臭い的なのが酷いクサい!
『主、大変です! 御身が黄色に!』
「え、ちょっと待て? まさかこんな形で新フォームかよ!」
スカラベと空を飛び合い、ぶつかり合う。
相手も同じ魔界の生き物、奴の体を覆う魔力とこちらの魔力が干渉して攻撃が滑りインパクトが伝わらずダメージが軽減される。
「げげ! こいつ、マジでクサい!」
ガードするも突進を喰らい、岩山へと弾き飛ばされる。
相手の臭いがデバフになって、良い勝負になっていた。
『主、気合いです魔力を集中して手足に込めて下さい!』
「セコンドありがとう、わかったぜ!」
再度空へと飛び上がり、呼気を整えて奴のように魔界の太陽からエネルギーを吸い込む。
「す、すごい速度で魔界の環境に順応してます! 流石は我がファラオ♪」
地上からマミーラさんのそんな声が聞こえた。
「決めるぜ、大地が日光を吸い地熱に変えるように力に変える」
太陽からも砂漠の大地からも力を吸い込み俺は輝く。
自分でもなんだが一番、テレビのヒーローっぽいかも?
自分も光り輝いて突進して来たスカラベ。
「上等だ、アースマカイザーキック!」
こちらも光り輝き、光条の矢となって突っ込む。
ぶつかり合いを制したのは俺。
奴のクサい臭いに耐えつつ、スカラベの体を貫いて爆散させた。
勝負を終えて大地に立つ。
改めて自分の姿を見ると、黒地のボディに胴体や頭部に手足が黄色い昆虫っぽい複眼のヒーローの姿になっていた。
黒い山羊の角がでかい触角のようにも見える。
「これは、今までで一番なんかヒーローっぽい♪」
お茶の間の人気を狙えそうなデザインになった嬉しさがこみ上げる。
「お見事した我がファラオ、そのお姿も素敵です♪」
マミーラさんが近づいて俺を褒めてくれた。
「ああ、手に入れたぜ大地の力♪」
「その、武具の素材は手に入りませんでしたがどうしましょう?」
「ああ、取り敢えず良いかな? 遠近どうにかできそうだし」
マミーラさんの問いに答える。
変身を解除して、倒れているアネットさん達に掌をかざして魔力を放つ。
「あ~~~! マジでクサかったでちゅ!」
「お坊ちゃま、お役に立てずごめんなさい」
「悔し過ぎますわ!」
「私、海に行きたいです」
「まあ、皆がいてくれたから俺のモチベも保てたよありがとう♪」
メイド達に礼を言う、彼女達がいたから俺があるんだ。
「取り敢えず、私の実家でお風呂に入ってからお屋敷へと戻りましょうか?」
「「さんせ~~~い」」
マミーラさんの提案にメイド達が乗る。
こうして、大地の元素の力を得てアースマカイザーのフォームを手に入れた。
メーアさんにドラゴンの姿になって貰い、全員で彼女の頭に乗って飛び立つ。
「は~~♪ 勇太様が私の氷枕代わりになって下さるので気持ち良く飛べます♪」
「今回はごくろうさま、マジで」
「いえいえ、内助の功ですから♪ ポイント上がりました?」
「ちょ、ポイントなら私も上がってるはずですよ?」
「私、食事代の分ポイント欲しいでちゅ!」
「いや、評価とかつけるのは良くないから!」
「え~、私らももっとモチベが欲しいですよ~♪」
「基準とか考えるのは後で会議で決めよう」
何かメイド達がポイント制度導入しろとか言い出した。
何を差し出せば良いのかとかわからないから勘弁して欲しい。
一緒にいる時間が増えたけど、俺はまだまだメイド達に振り回されていた。
取り敢えず、風呂でスカラベの臭いを落としてから帰りたい。
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