第34話:ロボ開発と大地の力

 かくして、突発的に起こったマジカルキューティア救出作戦は成功した。


 「え、ドラゴン? 紹介して欲しいなり!」

 「まあ、落ち着いたらで」


 メーアさんの事とかは、後にしよう。


 「ハナカちゃん、この人達何なの?」


 マジカルファイヤーさんが引きつた笑顔で呟く。


 「ただもんじゃないね、ヒーローみたいだけど?」


 マジカルアイスさんは溜め息、何か悔しそう。


 「え~? 皆楽しい面々なりよ~~♪」

 「いや、先輩が魔物好きだからでしょ?」


 俺が先輩にツッコむ。


 そんなやり取りを終えて、セベック号に乗せてセブンフラワーゲームスの屋上に彼女達を降ろして待っていた七村社長達に引き渡す。


 何はともあれ、取り敢えず事件は終わったので俺達は帰宅した。

 留守番をしていたリータさんには、魔法的な消毒をされた。


 三日後、七村社長と花果先輩が屋敷を訪れた。


 「おおお~~~♪ モン娘メイドさん達がお出迎えだ~~~おプ」

 「こら花ちゃん、失礼のないように♪」

 「えへへ、ごめんなさいパパおプ」


 先輩、マジでマモナーだったんだ。

 先輩も俺も学校の制服姿、社長は黒スーツだ。


 「いらっしゃいませ、ようこそおいで下さいました♪」

 「先日はどうもありがとう、赤星先生はお元気ですか?」

 「はい、祖父は大学の研究室です」

 「私は実は、赤星先生のゼミ生だったんだよ♪」


 社長が俺と握手しながら語る、縁があったんだ。


 「パパも魔法使いなり♪」

 「と言う事は、先輩にあたるんですえん」

 「ああ、そうなるねえ♪」


 祖父ちゃんの教え子だから、俺らの事普通に見てたんだ。


 「あ、これは皆さんでどうぞ~♪」

 「ご丁寧にありがとうございます」


 先輩から手土産の菓子折りをいただく。


 客間へお通しして、紅茶を出す。


 「改めて、本当にありがとう♪」

 「ありがとうね、晴間君♪」

 「いや、同じ学校の仲間ですから」

 「本当に、君が娘と同じ学校で良かった」

 「どういたしました、それで本日はどのような案件で?」


 茶飲み話をしつつ聞いてみた、後金も振り込まれたし何か依頼かな?

 仕事が貰えるのはありがたいが、自分達のレベル上げもしたい。

 いや、普通に茶飲み話でも良いが先輩が家のメイド達を見る目が輝いている。


 「いや、今日は仕事じゃなくてお礼とロボットに興味はないかい?」

 「ロボットですか、そりゃまあ巨大ロボットは使いたいです」


 いやマジで、日本のヒーローなら巨大ロボットの一台や二台は欲しいだろ?

 魔界でゴーレムの技術を元にして、ヴィクトリアさんからフランケン族の技術者でも紹介をしてもらおうと思っていた所だ。


 「家が操縦システムの開発にも関わっている研究所があってねえ♪」

 「我々にテストパイロットの依頼とかでしょうか?」


 興味深いが、拘束されるのは困る。


 「ではなく、試作機を七割引きで買い取ってもらえないだろうか?」

 「研究所の博士が、ドワーフとのハーフで魔力で動くロボ作りをしてたなり」


 社長の言葉に先輩が続く、ドワーフは魔界にもいるなあ。


 「その話、受けなさい勇太♪ 大丈夫、魔界金貨で支払うから♪」

 「ば、祖母ちゃん!」

 「にょわ、魔力高い人来た~~!」


 俺の背後に影が渦巻き、祖母ちゃんが出てきた。


 「お久しぶりです、ルビーさん♪ ええ、魔界金貨で構いません」


 社長が恭しく祖母ちゃんに一礼をする。


 「え、大丈夫なの祖母ちゃん? 密輸とかにならねえ?」

 「大丈夫よ、合法的にできるから♪」

 「では、家のトップから許可が出たのでその話をお受けいたします」


 こうして、俺達の巨大ロボ計画も動き出した。

 欲しかったものが手に入ると言うのあはりがたい。


 祖母ちゃんと七村社長で手続きをしたので関与してないが、格安購入できたロボットは魔界へと無事に送られ新たなロボに生まれ変わる事になった。


 「いや~~♪ 楽しみでちゅねお坊ちゃま♪」

 「うん、どんなロボットだろ?」


 アネットさんが俺に紅茶を注いでくれる。


 「私も楽しみですよ、合体や変形するのが良いです」

 「フランケン族の技術力、お楽しみあれですわ♪」


 乗り物好きなクーネさんと、魔界で身内がロボ開発に携わるヴィクトリアさんも微笑む。


 「確認はした方が良いですよ、デザインとか~?」


 マミーラさんは、ロボのデザインが気になるみたいだった。


 「ロボよりも私に乗っていただきたいです、ドラゴンの頭は快適ですよ♪」

 「私はそのロボットに装備できるのでしょうか?」


 メーアさんは自分に乗れと言い、リータさんんは己がどういう位置になるのかを気にする。


 ロボ開発が始まったと聞いてから、地下の基地にある食堂で皆と語り合う。

 メーアさんは不満みたいだが、皆でロボに乗って巨大な敵に立ち向かう一体感は味わいたい。

 屋敷の地下基地は、トレーラーまでのサイズなのでロボは入らない。

 と言う事は、魔界からロボを召喚して戦う事になるのだろうか?

 何にせよ、夢が広がるぜ。


 「ロボも楽しみにしつつ、鍛えて行くぜ♪ 皆も宜しく頼む」


 俺は仲間であり、大事な家族とも言えるメイド達に頭を下げる。


 「はい、お任せ下さいませ♪」

 「もっと頼って下さいよ~♪」

 「ええ、我等は何処までもお供いたしますわ」

 「絶対に離れませんからね~~~?」

 「私は主の装備品ですから」

 「勇太様の妻ですから♪」


 うん、皆は本当にありがとう。

 皆となら、どんな困難な道でも進んでいける。


 「属性の力も後は大地の力のみですわね♪」

 「火、水、風、闇、光と来たからそうだね?」


 ヴィクトリアさんがクッキーの皿をテーブルの上に差し出しつつ問いかけてきた。

 俺自身と仲間を強化する六つのエレメントの力、コンプリートまであと一つだ。


 「大地属性、地味ですが便利ですよ~♪」

 「マミーラさん、何だか嬉しそうだね?」

 「ええ、大地と言えば砂漠です♪」

 「ミイラ族、あれこれ属性持ち過ぎじゃない~?」


 俺とマミーラさんの会話にクーネさんが不平を鳴らす。


 「じゃあ、次は砂漠でひと狩り行こうぜ♪」

 「砂漠の魔物は食いでがないのが多いでちゅが、一丁やりまちゅか♪」


 アネットさんが俺を見て拳を握り、やる気をアピール。


 「以前グリーンロックは食べ損ねましたし、今度は食べたいですわね♪」


 ヴィクトリアさんは、料理が出来なかったのが不満らしい。


 食堂での会話の後、俺達は大地の力を求めて魔界の砂漠を訪れていた。


 「陽射しが気持ち良いです~♪」

 「マミーラが超元気でちゅね」

 「流石は砂漠戦仕様と言う事ですの?」

 「いや、マミーラはロボじゃないから!」

 「うう、砂漠は苦手です~~! 砂漠の行軍訓練のトラウマが~~!」

 「いや、メーアさんは何をやらされたんだよ!」


 砂漠に着てへたり込む、ブラックドラゴンメイド。


 俺はリータさんを武具形態で装備しているのと、マミーラさんのお陰で平気だ。


 「大変! 新兵が倒れたから背負わなきゃ♪」

 「メーアさんは、私が背負います♪」


 厚さが苦手なヴィクトリアさんとクーネさんが、冷たいメーアさんを巡り

争う。


 「とりま、私とマミーラとリータを装備したお坊ちゃまで先行しまちゅねあんた達?」


 火属性で暑さに強いアネットさんが、メーアさんを氷枕代わりにしているクーネさん達に呆れながら告げる。


 「うん、後から召喚してねアネット~♪」

 「私達は、メーアさんの介抱をしてから参ります♪」


 うん、いつも通りぐだぐだだな。


 「それじゃ三人は待機していてくれ、ピンチになったら頼む」

 「お坊ちゃまのピンチとあればシャキッとしますよ~♪」

 「それまでは休息を下さいませ~♪」

 「く、海ならば無双できたのに!」


 出だしから脱落者三名を出したが、俺の夏の砂漠の冒険は始まった。

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