第25話:合体フォームの強化
イフリートにサンダーマカイザーのフォームとベヒモスランス。
新たな力を得たら、力の使い方をマスターせねばならない。
地下基地の白兵戦用の訓練ルーム。
俺はクーネさんを相手にランスの稽古をしていた。
八角形で灰色の壁の宇宙船みたいな室内。
メイド姿のクーネさんとジャージ姿の俺が武器を打ち合う。
「行きますよ、私のハートは落ちてますので剣の方を落として下さいね♪」
「うおっ! 蜘蛛の腕と言うか足が千手観音みたいに!」
数えるのが面倒なほど背中から腕を生やした腕に剣を持ったクーネさん。
四方八方から来る攻撃をランスをぶん回して弾き飛ばす。
「伸びろベヒモスランス、スピニングファング!」
「わお、槍と言うより中華の棒術ですね♪」
「動画見てパクった!」
槍と言うよりは中国拳法の棒術のように縦回転で回して防御する。
「お上手ですが、糸もありますよ~~♪」
「糸で繋がったなら電撃だ!」
「いや~~ん、痺れる~~~~♪」
「ふう、こっちも糸で拘束っと」
「身も心も絡め取られちゃいました♪」
「自分が俺に絡め手の使い方とか仕込んだんでしょ?」
最後はこちらが出した蜘蛛の糸でクーネさんを絡め取り、一本を勝ち取る。
「ふう、お坊ちゃまとの時間素敵です♪」
「サラリと俺が出した蜘蛛の糸、体内に吸収して起き上がって来たよ!」
「お坊ちゃまからのいただき物ですから、誰にも渡しませんよ♪」
何か、変態度が増して来てる気がするなこの人。
「ちなみに、そのランスにリータのガントッとかは私達も使えますから♪」
「ああ、お互いの武器をシェアできるんだね」
「そして、ランスと雷の力と相性が良いのは私クーネでございます♪」
「え、そうだったの?」
「サンダープレデターの効果は、いずれお試しいただくのでお楽しみに♪」
「お、おう! 一緒に頑張ろう」
俺が強化されれば、メイド達との合体フォームも強化されるのか。
ますます使い方を気を付けねば。
「お坊ちゃま~~~♪ 私との射撃訓練でちゅよ~♪」
「アネット~~? もう少し二人きりにさせてよ~~?」
「クーネは時間を守るでちゅ!」
「まあ仕方ないね、それじゃあ夕食までお別れです」
「ああ、それじゃあまた後で」
訓練ルームを出たら、反対側のシューティングレンジへ向かう。
中に入ると壁のロッカーを開けてジャケットを着てゴーグルとヘッドホンを装着。
グローブも忘れずに身に着ける。
アネットさんはメイド服にヘッドホンとゴーグルだ。
「それでは、競技用ビームライフルでの撃ち方始めでちゅ!」
「イエッサー!」
スコープ付きのビームライフルを構えて、スコープで的を見て撃つ。
「ちょっとズレてまちゅね? 白兵と格闘ばかりじゃ駄目でちゅよ?」
「……面目ございません」
「気の玉とか飛び道具の魔法の訓練でもあるんでちゅから、はい構えはこう!」
アネットさんが俺の背後に近づきライフルの持ち方やらの修正を行う。
そして、二人でくっついたまま射てば今度はど真ん中に命中であった。
「実戦での飛び道具は、外したりしたらアウトでちゅから」
「うん、手加減もできないからね」
怪人や怪獣とのガチの実戦で手加減してたらこっちが死ぬ。
誤射したりすれば、社会的にも経済的にも死ぬ。
緊張でおなかが痛くなる話である。
「大丈夫でちゅよ~~♪ 銃とか撃つ時は私がフォローするでちゅ♪」
「その辺は、本当に頼りにしてます」
アネットさんはマークスマンとしても優秀なので助かる。
射撃訓練を終えたら、片づけをして出る。
「……ふう、夕飯が楽しみだよ♪」
「今晩はサンダーベヒモスのもつ鍋でちゅ♪」
「一ヶ月分の食材になったんだっけ?」
「飽きが来ないように工夫して作りまちゅ♪」
しばらく我が家の肉は、サンダーベヒモスになるようだ。
味は牛肉に近いから良いけどね。
「お野菜もしっかり食べましょうね~~♪」
「ポン酢も食材に合いましてよ♪」
「主が飽きないように美味しく作りました」
「大丈夫だよ、俺h出された物は全部ありがたく食う男だから」
食べ物は粗末にしてはいけない。
祖父母と両親は、飽きたと言って魔界へ逃げたのは狡いと思った。
「そう言えば、皆もパワーアップしたんだよね?」
メイド達と食卓を囲み、鍋を楽しみながら聞いてみる。
「ええ、勿論ですわ♪」
「合体フォームも強化ですよ~~♪」
「まあ、私とのサンダープレデターがおススメですかね♪」
「主、イフリートフォームもお忘れなく!」
「私は、どの武具やフォームでも行けましてよ♪」
「水の力を手に入れれましたら、セベクフォームをご贔屓に♪」
「リータと私のイフリートケンタウロスは大火力でちゅ♪」
「うん、戦術の幅が一気に増えたな」
フォームチェンジができるようになると取れる手が増える。
夕食を食いながら、器用貧乏にならないようにしないとと思った。
「そうそう、魔王様からの伝言です主」
「どんな内容?」
「暫くは雷と炎の力を鍛えなさい、との事です」
「ああ、わかった」
祖母ちゃんも俺と似た考えだったか。
「「ジャンケン、ポン!」」
「いや、四人は何してんの?」
「勝ちでちゅ~~♪」
物思いから戻ると、リータを除くメイド達がジャンケンをしていた。
そして勝ったアネットさんが喜ぶ。
「合わせ技のお試し第一弾は、私のイフリートケンタウロスでちゅ♪」
「順番のジャンケンか!」
いつの間にか次に試すフォームが決まっていた。
そして時が三日ほど経ち、よく晴れた土曜日の朝。
ジャリジャリした地面にバックにはデカい岩山。
俺達モンスターメイドコマンドーズは、関東にある岩山を訪れていた。
「ここなら、爆発しても怒られないですわね♪」
「公式動画撮影で運よく借りられました~~♪」
「聖地来た~~~っ!」
「ヒャッハ~でちゅ~~♪」
「ここが、好きなだけ炎を使っても良い場所♪」
「いや、リータは加減しような? アネットさんも?」
感慨深く岩山を眺める俺達、ヒーロー達にとってあこがれの場所。
「良し、皆変身だ♪」
「「魔界チェンジ♪」」
皆で岩山を背に同時変身する、テンションが上がるぜ。
俺とリータはイフリートマカイザーに、皆は魔界メイドに変身。
「さあ、フォームチェンジでちゅ♪」
「いやブラッディ、語尾が変身前だよ♪」
皆で明るく大爆笑、天気も良いし気分も良い。
本当に絶好の撮影日和だった。
このまま動画を撮影して弁当を食って帰れたらと思っていた。
だが、そうは問屋が卸さなかった。
大地が揺れ、屈強な体躯の赤い瞳に銀色ボディのドリル怪人が現れた。
「げげっ! 出たなクラッカー!」
「何っ! 貴様らはマカイザーとその一味!」
お互いに予想外の出来事に驚く。
だが、こっちにしてみれば好都合だった。
「よし、悪いが腕試しに倒させてもらうぜ!」
「イエス、マイロード!」
俺とブラッディウルフは、マシンカンケツバー荷を召喚して二人乗りになると更なる変身を遂げる。
イフリートガントレットが加わり、以前よりも重装甲になった真紅のケンタウロスの騎士イフリートケンタウロスへと姿を変える。
「「マカイザー―、イフリートケンタウロス! 更に熱く貫くぜ!」」
一つなった俺とブラッディは同時に名乗りを上げる。
「私達は撮影に回りますね」
「いい画頂戴よ~♪」
「お二人なら余裕ですわ♪」
他の魔界メイド達は散開する。
「貴様ら~~~! クラッカーの工兵隊長ドリルサージ様を侮辱するな!」
怪人、ドリルサージが後頭部のマフラーからガスを排気して激昂する。
「ならば、腕づくで証明して見せるが良い!」
「気取るな魔族の道楽者が~~~!」
ドリルサージが腹を割り、小型ミサイルを発射して来た。
俺達は敢えて避けず受け止める。
「……避けぬだと、やったか?」
「負け台詞を吐いたな、やってないぞ!」
ミサイルは火属性、爆発のエネルギーも炎も吸収した俺達は無傷だった。
「おのれ~~! ならばドリルラッシュを受けてみよ!」
ドリルサージが変形し、機首がドリルの飛行機モードとなって突っ込んで来た。
「敢えて受けよう、来い!」
「なめるな~~~~!」
舐めてはいない、真っ向勝負で受けて立つだけだ。
俺達は敵の突撃に耐える。
ドリルが響き火花が散るが、こちらの装甲は創刊谷は貫けない。
「お返しだ、ブレイジングエクスプロージョン!」
「ぐわ~~~っ!」
俺達は自身を爆発させて、ドリルサージを跳ね返す。
「まだだ、俺のドリルは折れてない!」
「敵ながらその闘志は尊敬する、こちらも必殺の一撃で行くぞ!」
「くたばれ~~っ!」
再度突進してくるドリルサージ。
対する俺達は後ろに跳び両手を握り突き出して、敵に狙いを定める。
「マカイザープロミネンス!」
拳を砲身に急速でエネルギーを集め、小型の太陽の如き火炎弾を発射する。
「耐えきって見せるわ!」
ドリルサージ、自分も受けきって反撃しようと回避しない。
俺達の技とドリルサージがぶつかり合い、大爆発が起こった。
新フォームで発した技は、一撃必殺の威力で怪人を葬り去ったのであった。
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