第三章:夏のパワーアップ編
第21話:魔王からの試験
「ふ~~~~! 中間テスト赤点なくて良かった~~っ!」
「俺もだぜ勇太~~♪」
「まったく、君達は仕方ない奴らだな♪」
「赤羽君も晴間君も、お疲れ様だね♪」
封神モンスター事件などで試験勉強が危うかったが中間テストは無事に終わった。
事件での欠席は単位にはなるが、テストの成績は別。
赤点で補習となると、ヒーロー活動が禁止されるシステム。
なので、勉強も頑張らさせられるのは都内でも名の知れたヒーロー学校ならではだった。
「二人とも、期末試験もあると言うのを忘れるなよ?」
「委員長、勘弁してくれ」
「そうか、期末試験もあるんだったな」
テストは中間と期末の二回あると言う事を思い出した。
ペーパーテストは必殺技では倒せないのが辛いぜ。
とは言え、逃げる事は出来ない。
事件より、授業の方にシフトしたいかな?
赤点取ったら遊ぶのも出来ない。
学校の勉強は、メイド達を頼れない。
とは言え、悪の組織が事件を起こしたら行かねばならんけどさ。
まあ、学業とのワークバランスは考えたい。
悪党も盆暮れ正月に夏季冬季と土日祝祭日は休めよ。
あいつら絶対に週休二日制とか、労基法守ってないし税金も払って無さそう。
「勇太、何か一人で考え込んでねえ?」
「そうだぞ、抱え込まない方が良い」
「私達で良ければ話を聞くよ?」
「いや、学業とヒーローと遊びとのバランスがどうとれば?」
友人達に聞いてみる。
「どうしてもの時は、他のヒーローにヘルプ頼むとか?」
「いや、それって良いのかヒーロー的に?」
ヒーローって、人任せにしないとかできない人ってイメージ。
「確かに、自分が行かねばと言うのはあるが仲間と助け合うのも大事だぞ?」
「晴間君、抱え込みすぎて潰れるタイプだよ?」
「だな、ヒーロー業にのめり込みすぎて家庭壊しちまうぞ?」
「う、痛い所を突かれてる気がする」
「一人で何でも背負い込みすぎると、独善を越えて毒善になっちまうぜ?」
武の言った、毒善と言う単語が刺さる。
「暴走した正義は邪悪と変わらないからな、戒めねばならん」
タカさんがしみじみとつぶやく。
「ヒーロー社会史の教科書に一杯事件が載ってるしね」
「ああ、自慢じゃないがその授業は満点だった」
御子神さんの言った科目は好成績だった。
「そう言えば勇太、ぽつぽつと点数良いのがあるよな?」
「オール六十五点の武の方が凄いぞ?」
「ああ、長官が勉強会とか開くから」
武も何気に環境に恵まれてるよな。
「流石お坊ちゃま、私らより点数取れてますよ~♪」
「そうそう、ペーパーテストだけが人生じゃないでちゅ♪」
屋敷に戻ってメイド達にテストの答案を見られた。
「どれも赤点がないのは何よりですわ、偉いです♪」
「そうですよ~♪ 補習や留年や落第がなければ良しです♪」
何だろう、勉強出来る組と出来ない組に別れたな。
「……ふむふむ、流石は私の孫ね♪ 赤点取ってなくて偉い♪」
「ば、祖母ちゃん?」
「母さんも来てるわよ~~♪ 勇太、頑張ったわね全科目平均点越えてる♪」
「父さんもいるぞ♪ 転校してからの方が勉強頑張ってるな、息子よ」
「やれやれ、皆心配性だねえ♪」
「ちょ、両親と祖父母保護者勢揃い!」
テストの成績を皆に見られて褒められるって、恥ずかしいけど嬉しい。
メイド達は畏まってる。
「そりゃそうよ、保護者が保護しないでどうするのよ♪」
「ルビーは優しいからね♪」
「
「良いじゃない灯彦さん、私達も夫婦なんだし♪」
「うん、四人とも仲が良いのはわかった」
家族が仲が良いのはありがたいが、恥ずかしい。
「今晩は、魔界の鹿で鍋よあんた達?」
「「サー!イエッサー!」」
祖母ちゃんが虚空にブラックホール開けて取り出したのは、黒いブロック肉。
メイド達は、自分達に振られた料理の仕事を軍人のように敬礼して承諾した。
「お祖父ちゃん、何の肉なのあれ?」
「うん、あれは魔界の鹿型モンスターの肉だね美味しいよ♪」
「父さんも食べたけど、普通の鹿肉と変わらないぞ♪」
「そうなんだ、まあ食べてみるか」
家族皆で食べた鹿鍋は普通に美味しかったです。
祖母ちゃんと母さんは、丼飯で元気に食べてました。
祖父ちゃんと父さんは、二人を微笑ましく見ながら食べてた。
「あんた達、勇太とイチャイチャしないの?」
「ルビー、そこは勇太達の時間で好きにさせてあげよう♪」
「そうね、進三郎♪」
「灯彦さん、ごはんお替り♪」
「ああ、今よそうよ♪」
「うん、俺らは惚気は良いかな?」
家族仲が良いって、ありがたいな。
俺の活動も応援してくれてるし。
「勇太、あんたに私から試験を受けて貰いたいんだけどやってみる?」
「わかった、受けるよ」
食事を終えると唐突に祖母ちゃんから試験の提案をされた。
リスクはデカそうだけど、リターンは大きそうなので即決した。
「流石は私達の孫、計算と決断が早いわ♪」
「祖母ちゃん達を信じてるから、乗って見るよ」
「それじゃあ、メイド達? 勇太は連れて行くから♪」
「行って来るよ」
「「行ってらっしゃいませ!」」
俺は祖母ちゃんについて行き、何か空間の裂け目に入って行く。
「ようこそ、祖母ちゃん道場へ♪」
「お、おっす! 失礼します!」
出た先は、空手や剣道ができそうな板の間の道場だった。
道場なので礼をする。
「はい、これから勇太には魔王の武具を手に入れる為の試験を受けて貰うわ!」
「おっす、宜しくお願いします!」
「ヒーローの定番、話が進んで来ると出て来る新武器よ♪」
「わかりやすいな!」
「マカイザーに変身しないで、あんた自身の魔王パワーでこいつを倒しなさい♪」
祖母ちゃんが指を鳴らすと、俺は白い道着姿になる。
帯は白帯だ、そして前の雨に現れたのは人型の炎。
「イフリートを倒して、魔王の炎をマスターするのよ♪」
「胸が熱い、何となくわかったぜ!」
胸の熱さを意識しながら呼吸をする。
熱さが全身に回り、全身からバーナーみたいに炎が噴き出た!
「行くぜ、イフリート!」
俺は目の前のイフリートみたいに炎を纏った姿で突進。
何か、魔界に行った時みたいに体に力が漲ってる。
「うおお! 熱い、けど焼けてない!」
イフリートのカウンターのパンチを頭突きで迎え撃つ。
熱いし痛いけど、何とか耐えられた!
お返しにこちらも拳に炎を灯して殴る!
「おっと、次は蹴りか! こっちもだ!」
相手の蹴りを避けてからお返しだと前蹴り!
打撃の応酬から、互いに距離を取る。
次にイフリート口から火の玉を吐き出して来た。
腕をクロスし、着弾の衝撃に耐える。
こっちの魔王の炎がバリヤーとなて五体満足だが、当たった衝撃は痛い。
ゲームで言う、自動回復効果みたいなもんはこっちにあるけど相手は強い。
「そっちが口ならこっちは掌だ!」
イフリートに対して掌を突き出し、ボウリング玉大の火炎弾を発射。
最後は、双方が突進でぶつかり合う。
「おお、何か真っ赤な籠手とか金属ブーツが装着されてる!」
「おめでとう勇太、まずは私流魔王道の初級は合格ね♪」
「ありがとうございます、初級かあ」
「魔王への道は長いのよ♪」
「千里の道も一歩からって事か、格闘武器なんだねこれ?」
「炎のパンチやキックは、男子の好きな奴って進三郎が言ってたから♪」
「うん、ありがとう祖母ちゃん。 俺は好きだね、火属性の武器とか」
イフリートは手強かったが、もっと手強いのと勝負とかあるんだろうな。
手に入れた武具と力を使いこなさないと。
『我が主よ、今後とも宜しくお願いします』
「うお! 籠手がしゃべった! ああ、よろしく」
左腕の籠手から脳に直接声が届いたので驚く。
こうして俺は新武器、イフリートガントレットとレガースを手に入れた。
「孫がプレゼント喜んでくれるって、良いわ♪」
「うん、マジでありがとう♪」
「良いのよ、可愛い孫の為だし♪ 個の力も大事だけど家族や友達に愛する相手との絆や繋がりが大事よ? 色欲の力は、他者との交わりで生み出すんだから♪」
「惚気つつ大事な事を教えてくれるな祖母ちゃん」
祖母ちゃんの教えは、胸に染み込んだ。
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