第19話:エイリアンを狩ろう

 「放獣事件? 不法投棄かな?」

 「そう言うのもあるが、怪獣バトルの為に放たれたりするんだ」

 「マジかよ、ポケット怪獣の世界じゃん♪」

 「それを巨大怪獣を使って、現実でやられるのは困るね?」


 昼休みの教室での俺と友達グループの会話。


 タカさんの話によると、宇宙人の間で巨大怪獣を実際にぶつけるゲームがある。

 アブダクターの奴らが運営に絡んでいると言う噂のある迷惑なゲームだ。

 日本でも闘鶏やら虫相撲やらあるけど、ゲームの中にしておいて欲しい。

 青木ヶ原の樹海に怪獣放ってバトルさせるとか迷惑だよ。


 「もしかして、レアリティが低いとかいらなくなった怪獣捨ててるとか?」

 「ああ、宇宙に生きる者として恥ずかしい話だが」

 「不法投棄ダメ!」


 生き物飼うならきちんと最後まで面倒見てくれ!


 「そう言うの困るよね、巨大な敵って倒すのキツイし」


 御子神さんが溜息を吐く、巨大戦に苦労するヒーローは結構いる。


 「わかる、ロボ出したくても出せなかったりするしな」


 武も同意する、ロボあるのかいいなあ。


 「これ、家のロボのフェザーキング♪」


 武がスマホの画面に映る巨大ロボを見せて来た。


 「お金かかってそうだね、それ?」

 「金の話はしないでくれ、みこっっちゃん!」

 「良い物だな巨大ロボと言う物も」

 「だな、俺も巨大化かロボが欲しい」

 「男子って、本当にロボットが好きだよねうちの弟もだけど」


 フェザーキングで話がズレる。


 「とはいえ、宇宙怪獣は困るよね金檀君?」

 「宇宙人としては、申し訳なく思うよ」


 タカさんは謝るが彼は悪くない。

 悪いのは、はた迷惑な事する悪のエイリアンなわけだから。

 地球はお前らのゲーム版じゃないんだぞ?

 俺も関わる事になったら頑張ろうと誓った。


 「何処でも同じですねえ、魔界でも闘獣ってのがありまして」

 「マジで、本当にどこでも似たようなのってあるな?」


 帰宅して地下の基地でクーネさんに話を振る。

 魔界でも似たような事してるらしい。


 「アブダクターとか宇宙人が魔界に来て怪獣飼育とかありそうだな?」

 「ええ、ありますよそう言う事例」

 「あるのかよ~~? 魔怪獣とか交雑種ももしかして?」

 「あるんですよ、外来種の環境破壊です」


 宇宙人が魔界に怪獣を放ち交雑種が生まれるとか、怪獣と魔獣をぶつける競技もあるとかどいつも趣味に情熱注ぎ過ぎじゃね?


 「魔王陛下達も、そう言う魔界の侵略に対抗してるようでちゅ」

 「もしかして、父さん達も魔界でそう言うの相手にしてるんのかな?」

 「勇美様は、私達の指導教官もされておりました」


 アネットさんやヴィクトリアさんも会話に加わる。

 母さんの事を思い出したのか、ヴィトリアさんは顔が青くなる。


 「うう、地獄の追回し特訓とかマジ鬼でちたよあの鬼姑!」

 「アネット、宙づり特訓とか思い出させないでよ~!」

 「……四人で歩いた砂漠の行軍訓練、マミーラだけが平気でしたわね」

 「ちょ、母さんがごめん!」


 夕食当番で上にいるマミーラさん以外が、過去のトラウマを思い出して茫然自失状態になってしまった。

 いや、母さんは彼女達にどんな無茶な訓練をやらせたんだよ!


 取り敢えずトラウマから回復した面々と食事をしてその日は終わった。


 週末の山中湖湖畔。

 観光客で賑わう中に俺達もいた。

 だが、平和な時間は終わりを告げようとしていた。


 「マジかよ、俺達は普通に土日キャンプに来ただけなんだが?」

 「ブラック労働気味なヒーローの休みを潰すとは、罪深いでちゅ!」

 「一般人の皆さん、ヒーローが戦いますから逃げて~~~!」

 「モンスターメイドコマンドーズが皆様をお守りいたしますわ」

 「アブダクターはカエル型ですか、お帰り下い!」


 山中湖に遊びに来た俺達、のんびり朝のキャンプ飯だと言う所に空から円盤が。

 一般の人達もただの円盤かと思っていたら、降りて来たのは銃で武装したカエル人間のエイリアン達。


 「ゲコゲ~コ、おのれヒーロー共! 邪魔だ!」

 「ゲコゲ~コ!」

 「ビームライフルで掃除してやるゲコ!」


 いや、邪魔なのはそっちだろ!

 対ビーム仕様のジャケットで受けて初撃を弾く。

 玩具みたいだが、ガチモンのビームライフルで撃って来やがった


 メイド達もフライパンや鍋で、エイリアンの撃って来たビームを弾き返す。

 うん、米軍払い下げの戦う調理器具って便利だな。

 一般人の皆さんは、素直に逃げ出してくれました。

 いや、避難訓練を真面目に受けてくれてる人達かな?

 見回した感じ、動画撮影とかしそうな人はいない。


 「周囲の安全の確認良し! 変身して戦うぞ!」

 「「魔界チェンジ!」」


 変身もして敵の攻撃を防ぎつつ、市民を避難させて戦闘の用意を行う。

 ここからが俺達の本格的な反撃タイムだ。


 カエル人間達がビームサーベルに武器を持ち換えて襲って来る。

 いや、宇宙人ビーム兵器使い過ぎじゃね?

 俺達もそれぞれ武器を出して魔力を纏わせてから迎え撃つ。


 「私、魔界女子野球ではスラッガーでしたの♪」


 ゴールデンが金棒で敵を吹き飛ばす。


 「オラオラ、生け捕りにして銀河ポリスに突き出してやんよ!」

 「ゲコ~~っ! ノロマなポリスなんか怖くないゲコ!」


 ブラッディウルフが煽りながら殴り飛ばす。

 良し、こいつら銀河ポリスの管轄内のヤカラだな。


 「ラッキー、銀河ポリスなら犯罪者の賞金の払いが気前良いんですよ♪」


 アルケニーが嬉しそうに笑いながら蜘蛛糸で太ったカエル達を縛り上げる。


 「ミイラの呪いを受けるが良いです~~~♪」


 マミーもウキウキとカエル達をミイラのように縛り上げて行く。


 「さて、残るはお前だけだな? どうする?」

 「知るか、出でよ怪獣っ!」

 「させるかよ、パピルスバインド!」

 「ゲコ~~~ッ!」


 良し、奴が怪獣を出す前に止められた!

 と思ったら、カエル人間が落としたカプセルが光を放つ!


 「げげ! 五メートルサイズのが出た!」

 「行け、トカック!」


 出てきた怪獣は小型、とはいえ面倒臭い。


 「角が生えた兎みたいな耳のトカゲ?」

 「混ざり過ぎでしょ、湖面飛び跳ねてる!」

 「私にお任せあれ♪」

 「ああ、抜け駆けです!」


 水しぶきを上げて湖面を飛び跳ねる怪獣、ヤバイな!


 「マイロード、合体ですわ!」

 「よし、バロックバットで行くぜ!」


 俺はゴールデンと合体、バロックバットフォームになり飛び立つ。

 こちらに牙を剥いて襲って来た怪獣、俺は両腕を肥大化させて牙を殴る。

 上顎の牙が折れて吹き飛ばされる怪獣。


 『五メートルサイズなら何とか行けますわね?』

 「ああ、湖を汚さないように配慮しつつ行くぜ!」


 追いかけて、ボディを殴り湖面から打ち上げて怪獣をキャッチ。


 「この姿なら、宇宙も行ける?」

 『勿論、大気圏突入も可能ですわ♪』

 「うんじゃ、宇宙まで運び去るぜ♪」


 俺は怪獣をしっかり掴んで離さず上昇し、大気圏を突き抜けて宇宙に出る。


 「地球って、本当に青かったんだな? とりゃ!」

 『感動ですわね♪』


 俺達は衛星とかのない方向へ怪獣を投げ飛ばす。

 だが、怪獣の方も最後の悪あがきだと大口を開けて襲い来る。


 「甘いな、それを待っていたんだよ! ギガナックルクラッシュ!」


 俺は怪獣の口の中に飛び込み、腕を巨大化させて拳で内側から突き破った。

 大爆発と同時に俺も弾き飛ばされる。

 綺麗さっぱり怪獣は消え去った。


 「さて、後は帰って奴らの引き渡しだな」

 『その後はキャンプの再開ですわ♪』


 地球へと突っ込み戻って来ると、丁度カエル人間達が銀河ポリスに連行されて行くところだった。


 「どうも、ご苦労様です」

 「初めまして♪ 協力ありがとう少年、俺は銀河ポリスのアズールだ、宜しく♪」


 青色のパワードスーツを纏ったヒーローと握手を交わした。

 円盤タイプの宇宙船のビームに吸い込まれて行ったアズールさんを見送る。


 「ふう、これで本当に片付いたかな?」


 変身を解除する、休みのはずなのに休めなかった。


 「お帰りなさいませ~♪」

 「キャンプの再開はカレー作りからでちゅよ~♪」

 「ええ、お坊ちゃまはお寛ぎくださいませ♪」

 「エジプト風整体をしましょう~♪」


 戦いが終わり、メイド達とのキャンプが再開されたのであった。

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