第15話:交流、フェザーファイブ!
「勇太、宜しくな♪」
「ああ、負けないぜ武♪」
俺と武は代表同士で握手を交わす。
晴天の日曜日。
俺達モンスターメイドコマンドーズと、武のチームであるフェザーファイブ。
調布にある野球場のマウンドに並んで向き合う両軍。
場所は野球場だが、行われるのはヒーロー同士の模擬戦だ。
人脈作りは、魔界の家の国と人間界の友好関係には必要。
これもその一環、千里の道も一歩から。
「勇太~~~♪ 頑張れ~~~♪」
家のベンチには、ピンクの着物を着た我が祖母である美少女魔王のルビー。
家のメイド達は、魔王である祖母ちゃんの督戦に緊張していた。
祖母ちゃん達、普段は魔界にいるからたまに来ると驚く。
相手のベンチには、サングラスで目を隠した赤いジャージ姿のマッチョマンがいた。
ライオンヘアーが炎のようだ。
「皆、模擬戦とはいえ全力で行け!」
「「はい、権田原長官!」」
武達がマッチョマンの言葉に答える。。
何かチラ見したけどオーラがパねえ人だ。
「「魔界チェンジ!」」
「「フェザーチェンジ!」」
スピーカーから流れたサイレンを合図に両チームが同時に変身し、模擬戦開始だ。
観客はいないが、どちらもやる気は全開だぜ。
「では早速、同色対決と行きますか~♪」
「負けないわよ、蜘蛛女さん! フェザーバレット!」
「アルケニー特製、ウェブショット連射でございま~~~す♪」
家のピンクアルケニーと対するのはフェザーピンク。
二丁拳銃をぶっ放して来る相手ピンク。
対するアルケニーは、粘着性の蜘蛛糸弾の連射で応戦。
糸球が銃弾を絡め取りボトボト落ちる。
「行くぜマカイザー、フェザーブレード」
「こっちも剣だ、ファラオケペシュ!」
レッドは羽のような刀、こちらは刀のような鎌型の剣で切り結ぶ。
向こうも同じだろうが、味方の動きも気にしつつの勝負だ。
「ちょっと! ワーウルフって近接タイプじゃないの!」
「ああん? ショットガンは近接武器だろうが!」
「ちいっ、面倒くさい!」
薙刀使いの女性戦士、フェザーブルー。
彼女に向けてショットガンで牽制しているのは、真紅の人狼ブラッディウルフ。
牽制を潜り抜けて来たブルーに対し、ブラッディウルフは鎖を拳に巻いて格闘戦。
「蝙蝠なら吹き飛ばしてあげましょう、フェザートルネード!」
「私、愛も肉体も重いメイドなのでその程度の風で倒れませんわ♪」
「メイドな部分って、頭のキャップだけじゃない!」
「縦ロールブースター点火、ゴールデンパンチですわ!」
緑の女性戦士、フェザーグリーンが羽団扇で起こした竜巻。
家のゴールデンヴァンパイアは、直撃を耐え切る。
反撃だと、縦ロールが変形したブースターで突進し殴り掛かる。
「プリンセスマミーって、メイドじゃないだろ!」
「そのツッコミをした相手は、無数に呪われて倒れて行きましたよ~?」
エジプトのファラオみたいな被り物とスフィンクスっぽい鎧を着たミイラ女。
プリンセスマミーが相手にするのは、黄色の男性戦士フェザーイエロー。
「ひ~~~~っ! 俺はミイラが怖いんだよ~~!」
「ファラオの威光を受けてみよ~~~♪」
弓矢を武器にするフェザーイエローに対して、地面からミイラ軍団を召喚してけしかけるマミー。
この取り組みは、家が優勢に進めていた。
「エグイなこの野郎、イエローがあぶねえ!」
「うんじゃ俺も、マミーの加勢に行くか」
俺とレッドは、同時に離れそれぞれの仲間を助けに行く。
対戦中とはいえ、友であるレッドを背後から攻めるとかはしない。
傲慢だが、レッドとは真っ向からぶつかり合って勝ちたいんだ。
「イエロー、距離を取ってフェザーアローで決めろ!」
「マミー、合体してセべクフォームだ!」
俺とレッドは、同じタイミングで味方に指示を出す。
ミイラ軍団を蹴散らしたレッドはイエローと飛び退く。
こちらはマミーと合体しセべクフォームにチェンジ。
「フォームが変わった、こっちは武器合体でバーニングアローだ!」
「ああ、行こうぜレッド!」
レッド達は弓と銃を合体させてこちらを狙う。
『ファラオ、こちらも決めましょう』
「ああ、ラーブレイザーで行くぜ♪」
相手がビームの矢を射て来たのと同時に、こちらも光線を放つ。
双方の光線がぶつかり合い、爆発が起きて相殺された。
「ち、皆すまねえ! エネルギー切れで変身が解けちまった!」
「レッド、武はエネルギー使い過ぎ! ベンチ戻るよ!」
変身の解けた武がイエローに付き添われてベンチへと連れて行かれる。
「うっし、一人取った♪」
「やってくれたわね、ブルーゲイザー!」
「あば~~~っ!」
レッドが倒れた事により奮起したブルーが必殺技を放つ。
薙刀の切り上げと同時にブラッディウルフの足元から間欠泉が噴き出す。
こちらも一人、ベンチ行きだ。
だが、仲間を倒されて奮起するのはこちらも同じ。
「ごめんあそばせ、ゴールデンタックルですわ!」
「嘘、この人私のかまいたち攻撃を弾き返しながら突っこんで来た!」
ゴールデンヴァンパイアがタックルでグリーンを突き倒し、変身解除させる。
今の所は家が四対三でまだリード。
得点板に数字が入る。
この模擬戦、選手が一人ダウンで一点の特典が入る。
先に三人をダウンさせて、三点を取ったチームの勝ちだ。
「糸の攻撃は見切ったわ、ピンクグレネード!」
「いや、拳銃に榴弾着けて撃つって無茶苦茶な!」
家のピンクアルケニーが、フェザーピンクの攻撃で吹き飛ばされる。
これで同点、油断はできない。
「良し、バット、マミー、マカイザーアタックだ!」
「「了解!」」
俺はマミーと分離し、仲間達と集合して巨大なカボチャに変形する。
このカボチャ形態の俺、着弾すると魔力を放出する爆弾になってる。
変形した俺をメイド達三人が魔力を注いで敵陣へ放り投げる。
「ちょ! 何かカボチャが飛んで来る!」
「こっちも三人だけどフェザーバズーカよ!」
「「フェザーバズーカ!」」
相手も合体技でバズーカ攻撃。
だが、威力が弱いのか俺はバズーカのビームを押しのけて敵陣へ突っ込み爆発。
体当たりと同時に魔力が放出され、その衝撃波で残るフェザーファイブの面々をぶっ飛ばしダウンさせる。
元に戻り残心を取って決める。
『勝者、モンスターメイドコマンドーズ!』
スピーカーからアナウンスが流れて俺達の勝利が決まる。
変身を解き両者並んで握手。
「悔しいが次は俺達が勝つ」
「ああ、こっちも頑張るよ」
武の言葉に答える。
団体戦の次は、個々での対決だと言う所で空に異変が起こる。
「空に穴? アブダクターか!」
「よっしゃ、模擬戦の次は実戦だぜ♪」
空に空いた黒い穴から赤いザリガニ人間達が降って来た!
俺達は再度変身し散開、スタジアム内に落下して来た敵を包囲する。
「ガニ~~~! 我らはザリガニアン斬殺隊、ヒーロー共よ我らの実験材料になれ!」
「「ガニ~~~!」」
「地球に不法侵入して来て、好き勝手抜かすな! 行くぜフェザーレッド!」
「任せろよ、マカイザー♪ こっからはヒーロー同士の共闘の時間だ!」
俺とフェザーレッドは拳を打ち合い、襲い来るザリガニ型宇宙人を蹴り飛ばす。
「宇宙人なら、見た目はザリガニでも食べられませんわね」
「いや、食べんのかい!」
ゴールデンヴァンパイアがフェザーピンクと背中を合わせて迎撃。
「はいは~い、鋏は危ないから縛りましょうね~♪」
「ブルーアクアカッター!」
ピンクアルケニーが敵の腕の鋏を糸球で封じれば、フェザーブルーが薙刀から水の刃を飛ばして敵の首を斬る。
「風で炎を広げます!」
「焼き払うぜ~♪」
ブラッディウルフが口から炎を吐けば、フェザーグリーンが炎を羽団扇で扇いで範囲を拡大して攻撃する。
「ミイラ達よ、ザリガニ共を捕えよ!」
「動きが止まれば、ただの的!」
プリンセスマミーが地面からミイラを召喚してザリガニアン達の掴む。
動きが止まった所でフェザーイエローが矢を放ち撃破して行く。
「お、おのれヒーロー共! よくも我が同胞を!」
「悪の宇宙人に容赦はしねえ、行くぜレッド!」
「おう、即席合体技で行くぜ!」
「「ダブルヒーローキック!」」
残った敵のリーダー格に対し俺とレッドは全身から炎を燃やしてジャンプ。
同時に敵の頭上に落下し必殺キックを叩き込んだ。
かくして、突如乱入して来た敵は滅んだ。
こう言う事はそれなりにあるらしい。
他所のチームと協力する訓練になった。
実験材料になったのは敵の方か。
「やったな、マカイザー♪」
「お疲れ様、フェザーレッド♪」
俺とレッドは再度握手を交わす。
こうして、模擬戦での交流は成功に終わったのであった。
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