プロローグ4/4

「じゃあ、行こうね。兄さん」


 よほど楽しみだったのか、準備を終えて部屋から出てきた俺の手を引いて玄関に俺を連れて行く。


(せっかくこいつが楽しそうにしてるんだし俺も楽しまなきゃな)


「ああ、それじゃあ行こうか」


俺達は一緒に家から10〜15分ほどで着く駅へとへと足を運んでいく。

二つ先の駅で降りて、そこから少し歩くと見えてくるデパートで今日は買い物をするのが目的だが。


「今日は私が兄さんに似合う服を選んであげるよー」

「えっ、いやいいよ。俺のことじゃなくて自分の欲しいものを買えばいいだろ?」

「私が兄さんのものを選びたいからいいのー」


何度断っても俺の服を選ぼうとする彼女はもう何を言っても考えを曲げないだろう。


(仕方ない。今日は可愛い妹の為になんでも願いを聞きますか)


「じゃあ今日は可愛い妹にリードしてもらおうかな」

「任せてよ兄さん。

 今日は私が兄さんをサポートするよ」


 と言ったものの、俺の妹は容姿がとんでもなく良いからな。

 歩いているだけで大抵の男達が振り返ってくるから、俺に対する嫉妬の視線が痛い。

 だけど今日はそんなこと気にせずにいこうと決めたのだ。

 気にしたら負けだと思っている。

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