プロローグ3/4
風呂から出た俺は妹が作ってくれたご飯を一緒に食べていた。
両親は海外で仕事をしているので、普段は家にいない。
両親の代わりに家事を全て担当してくれている妹と二人で暮らしている。
「そういえばさ、明日って私も兄さんも休みじゃん?」
彼女がなにか言いたそうな表情で俺に問いかけてくる。
「あぁ…明日は学校が休みだし何をするか考えていたところだ」
妹の問いかけに俺はすぐに答える。
明日は学校の都合で平日だが休みという事になっている。
休日だというのになんの予定もないのは、若干気になるところだが。
「ならさっ!明日二人で買い物にでも行かない?」
「いや、買い物なら先週行ったばかりじゃないか」
一緒に買い物に行こうと提案されたが、先週行ったばかりだと指摘をする。
「えぇ〜いいじゃん、せっかくだし」
頬をプクッと膨らませて可愛らしい顔でお願いをしてくる。
この顔をされると俺はとんでもなく弱く、つい承諾してしまう。
「はぁ…」
「わかったよ。じゃあ明日行こうか」
(やっぱり妹には弱いな…)
心の中で自分を憐んでいると見る物全てを魅了するであろう目を光らせて感謝してきた。
「ありがと〜兄さんは本当に優しいね」
俺は文句を言いながらも妹のお願いを聞き入れてしまう。
今思えばこの時に無理にでもわがままを聞き入れるべきではなかったのかもしれない。
この先ずっと後悔することになるであろう選択をしたと思う。
ここで出かけることを選択してしまった事で
俺たち二人が家でする最後の会話になってしまった事をまだ誰も知らない。
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