第2話 冷たい春 中

冷たい春(中編)


「灯(アカリ)今日の夜出掛けよーぜ、なんかおもろそーな事があるっぽいわ」


3年生になっても変わらないアキ


相も変わらず

アキは退屈を嫌う

アキは普通という言葉を嫌う

アキは生き急ぐように何処かを見ている、夢見ている


一貫して変わらない



進路の面談ではあたしもアキの親も気まずそうにしていた


一応それなりに出席はしていたし、ペーパーテストも平均はある


教員は、

だからこそ余計にタチが悪いと嫌味を言ってきた


勿論、アキにはそんな嫌味なんて効果なし


今日の夜の事しか考えてへんわって態度が日中から見てわかる


ついでのように、あたしにも来る


あたしも同じ


でもちょっとしつかったから

それらしい大人のご都合話なんて興味あらへんし、寄席でやってください

って返して帰宅した


アキもあたしも母親にめちゃくちゃ叱られた



早めに支度を済ませて、ネットを適当に見漁っていたらアキから電話が来た


すぐ近くの公園で待ってると


なんで公園?


と、思って向かうと見慣れた赤い髪が居た


「アカリーこっちこっち」


アキは単車に乗って手招きしていた


え、それどこで手に入れたん?


欲しいおもちゃを手に入れたような子供のように、屈託のない笑みを浮かべるアキが居た


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