第38話

「お帰りを。そしてもう二度と来るな」




刹鬼様が強い口調で言い放つ。



怒っ。


怒ですわ、刹鬼様!!




「怒っているに決まっているだろう。愛する妻が」




ドォオオオンッ!!




「キャァァッ!?」



「アンジェラ!!」




天使達の直ぐ側に特大の雷が落ちる。




「汚い」




汚い!?




「奴らに好きにされるなんて話しを聞かされたんだぞ?丁に触れていいのは俺だけだ。他の奴らなど万死に値する。こんなことになるならもういっそ天界を」





ビリビリと震える空気。



刹鬼様の身体か、放電される雷。


刹鬼様に抱きしめられている、わたくしには影響がない。























「滅するか。跡形なく」


























恐ろしいほど低い声で告げる刹鬼様。



ゾクゾクとする良い声に、わたくしは酔いしれる。



幸せでおもわず微笑んでしまう。




ここに居る誰もがわかる。



刹鬼様は本気で、その力が“ある”ということが。




「帰る!!帰らせて頂く!!そしてもう二度と鬼ヶ島へは来ない!!誓います!!」



「セルジュ!!」



「もう諦めろ、アンジェラ。あの御方はお前なんて眼中にねぇ」




奥様しか見えてねぇ、とアンジェラを諭す男天使。




男天使、良いことを言いますわね!!



おもわず親指を立てると、その手が大きな手に包まれる。




「しばらくは、誰とも会わせないようにしようか」




ふてくされたような刹鬼様。



可愛い!!




「わたくしは宜しいですよ?刹鬼様は会いに来てくださるのでしょう?」



「もちろんだ」




即答にわたくしは嬉しくて、刹鬼様に向かって微笑んだ。



そんなわたくしを見て、刹鬼様の綺麗なお顔が近づいてくるからわたくしは目を閉じ……




「兄上ーーっ!!」



「イチャイチャなら後にして下さいよ、旦那様、奥様」




鍾鬼様と多鬼が来ました。



多ー鬼ーーっ。


よくも邪魔を。



後で殴る。




「俺っ、俺だけじゃないでしょ!?」

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