第31話

「うるさいっ!!そういうお前は、負けそうになったから逃げてきたんじゃないだろうな!?」




……負けそうになってる者が、大岩を弾き返せますか。



アホなのですか。




「あっ、お前今、アホだと思っただろ!?」



「アホでしょう」



「違う!!」




ムキになる鍾鬼様。



これまでの冷静沈着な鍾鬼様はどこへ行ったんでしょうね。



まぁ、こっちの方が素のようですね。



どうでもいいですが。




「私はもう終わりました。ねぇ?真鬼」



「はい。奥様の圧勝です」




戻ってきた真鬼が物凄く誇らしげに頷いてくれます、



可愛い子。



ヨシヨシと真鬼の頭を撫でていると。




「クッ。圧勝だと……」




悔しげな鍾鬼様。




「そうか〜、アンジェラは今日も負けたかぁ〜」




仲間の天使が言う。


名前は……名前は……忘れましたわ。




「酷い、丁ちゃん。俺はこんなにLOVEなのに」



「ハァアッ!?」




なんで貴方が驚いているのですか、鍾鬼様。




「どこが良いんだよ、こんなブスッ!!」



「……」




幾ら刹鬼様の弟君でも、もうそろそろ堪忍袋の緒が切れますわ。



アンジェラとこの天使と共に天界へ送ってやりましょうか。



ハッ!!


とても良き考え!!



隣で真鬼も頷いてくれていることですし。




「ふざけるな、天界など行くかっ」



「「えーー」」




真鬼と一緒に不服申立てです。




「丁ちゃんならいつでも大歓迎だよ〜」



「名前を呼ぶなと言っている」




ヘラヘラ笑う天使にそう言って、微笑む。




「私が行って良いのですか?」



「……」



「いつもアンジェラが心配で来ている人が」




知っているのですよ?



貴方がアンジェラのことを好きなことは。




「わかっちゃった?」



「最初から」



「あちゃー……。これ、アンジェラには内緒ね」



「ならば、さっさとアンジェラを連れて帰って下さいな」



「了解」




バイバ~イと天使は手を振るとアンジェラの元へと向かった。

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