第27話
全く、なんてタイミングで……。
私と鍾鬼様は1度臨戦態勢を解く。
鍾鬼様の相手をしつつ、天界の方達を相手にするのは流石の私も無傷というわけにはいきません。
それは鍾鬼様とて同じこと。
私は刹鬼様の元へ。
「刹鬼さ」
ドスッ!!
「兄さん」
「「……」」
鍾鬼様が体当たりで私を押し退け、刹鬼様の前へ。
ふっふっふっ。
ゴスッ!!
「「……」」
無駄に長い鍾鬼様の足の甲に釘バットを振り下ろす。
「お前達」
「「はいっ!!」」
刹鬼様に呼ばれる。
そうでしたわ、今はいがみ合ってる場合ではありません。
「天界の奴らは俺が」
「いけません」
「ダメだよ、兄さん」
こういう時は息が合いますのね。
私と鍾鬼様は自ら天界の方達の元へ行こうとする刹鬼様をお止めする。
刹鬼様は我らが鬼の王。
こちらに来れば会える、などと簡単に思われてはなりません。
それにきっとあの方達の狙いは……。
「私が」
「俺が」
「行きますわ」
「行くから」
「「……」」
なんてこと、声が揃ったではありませんか。
嫌〜な顔をする鍾鬼様。
あらやだ、器の小さいこと。
私、これくらいどうってことありませんわ。
フフンッと笑うと射殺されそうな瞳で睨まれる。
「しかし……。お前達に怪我でもあったら……」
「あら、旦那様」
「兄さん」
「私が」
「俺が」
「「負けると思って??」」
挑むように鍾鬼様と二人、刹鬼様を見ると
「負けないな」
そう言って、笑ってくださった。
ああああっ!!
なんて格好良いのでしょう!!
抱きつきたいのをグッと堪えて、真鬼を見る。
「真鬼は砂鬼様を安全なところへお願い」
「畏まりました」
真鬼は直ぐ様、砂鬼様の元へ。
「鍾鬼様……」
「後で迎えに行く」
不安そうな砂鬼様に優しく微笑みかける鍾鬼様。
あんな表情も出来るのですね。
「真鬼」
「はい」
「砂鬼様を安全なところへ送り届けたら、アナタは私のところへ戻ってくるのよ」
「もちろんです」
真鬼が嬉しそうに即答する。
可愛い子。
「では、参りますか。鍾鬼様」
「俺に命令するな」
「丁、鍾鬼」
刹鬼様に呼ばれる。
「頼んだ」
「お任せを」
「任せて」
私を信じて任せてくださった旦那様のため、天界の方達を蹴散らしてみせましょう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます