第25話

多鬼にツッコまれ、とりあえずに釘バットをお尻に突き刺す。




「〜~っ!?」




私がブス……。



というか、鍾鬼様。


キャラ変ってやつですか?


キャラが変わってますよ?




「鍾鬼様」



「なんだよ?」




不貞腐れたように返事をする鍾鬼様。


子供のようで、さっきまでの落ち着いた大人な雰囲気はどこにもなく砂鬼様も戸惑っていますわ。




「刹鬼様がお嫌いなのではないのですか?」



「嫌いだよ!!お前なんかと契りを交わして、お前ばかり可愛がる兄さんなんて!!」




私と契りを交わし、私を可愛がる刹鬼様が嫌い?



ということ。



つまり鍾鬼様は私が嫌いということね。




「刹鬼様。鍾鬼様は刹鬼様が嫌いではないようですよ。むしろ大好きみたいです」



「そうなのか」



「はい」



「そうか」




無表情で頷く刹鬼様。



けれど私にはわかります。


とても喜んでらっしゃいます。


実の弟に嫌われること程、悲しいことはありませんもの。




「良かったですわね、刹鬼様」



「ああ」




微笑むとまた抱き締められる。



んふふ。


でゅふふふふふっ。




「ブス!!兄さんから離れろ!!」



「……」




しかしこれは頂けませんわ。




「私、姉ですよ。鍾鬼様」



「人間に角を折られるような奴、姉だなんて認めない!!」



「鍾鬼」



「フン」




刹鬼様に嗜めなれるも、そっぽを向く鍾鬼様。



そうですか、そうですか。



ならば……。



離れがたいのですが、刹鬼様から離れ




ズボッ!!




「ああんっ」



「多鬼、喘がないで」



「酷いっ」




突き刺していた釘バットを多鬼のお尻から引っこ抜き、鍾鬼様に突き付ける。



嫌ーーーーな顔をされる鍾鬼様。



まぁ、多鬼のお尻に突き刺さっていた物ですものね。



正直、私も持ちたくはありません。




「奥様がやったんでしょ!!」



「……」



「無視ときたっ」




吠える多鬼を真鬼が首根っこを掴み下がらせる。




「ぐ…ぐるじっ」




ナイスですわ、真鬼。




「認めさせましょう」



「俺と殺ろうって?」



「はい」




ニッコリと微笑んで頷く。



これからも刹鬼様のお嫁さんでいるために。




「もう一つの角も折ってやるよ」



「やれるものならやってみろ。クソ餓鬼」



「二人とも」



「刹鬼様は黙ってて下さい」



「兄さんは口を出さないで」




愛する二人にピシャッと言われ、シュンとする刹鬼様。



ごめんなさい、刹鬼様。


でもこれだけは譲れませんの。




「参ります。ご覚悟を鍾鬼様」




フルボッコです。

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