第9話
"おばあさんに作ってもらった日本一のきび団子を持っていざ出発!!"
「何故、きび団子?」
「おばあさんの得意料理?」
「なるほど」
いや、知らないけれどね。
"途中、犬、猿、キジに会い、きび団子をあげておともにしました。"
「ここでまさかの、きび団子」
「チョロすぎでしょ」
つい、本音が。
"鬼ヶ島についた桃太郎は鬼と対決"
「刹鬼様!!」
"たくさんの恐ろしい鬼が桃太郎たちに襲いかかってきます"
「先ずは、わたくしが行くわ。次は多鬼ね」
多鬼は恐ろしくないけど。
刹鬼様の盾的な?
"しかし、桃太郎は怯えることなく果敢に立ち向かい"
「あ"?」
「奥様、地が……」
「大変っ」
つい。
"犬、猿、キジの助けを借りて見事勝利!!"
「え?犬、猿、キジがなんの役に?」
真顔で真鬼が首を傾げる。
わかる。
この書は、人間側の勝利で終わるのだ。
赦されない。
しかも
"鬼はもう悪さはしませんと桃太郎に許しをこいました"
確かに人間を襲ったりする者もいる。
悪さをする者もいる。
だが、この鬼ヶ島で大人しく暮らしている鬼もいっぱいいるのだ。
何故こうも鬼ばかりが悪者なのか……。
それに刹鬼様が負けることなど絶対にありえないし、許しを乞うぐらいならあの御方は潔く死を選ぶでしょう。
怒りを抑え最後まで読んだ感想が
「なんっじゃコリャア!?」
である。
書を書いた人物も、もちろん桃太郎も許すまじ。
刹鬼様は絶対に死なせないわ。
わたくしの命に代えても。
だから
「真鬼」
「はい」
わたくしは愛用の釘バットを2、3度振って肩に担ぐ。
「人界に行って、桃を殲滅してくるわ」
桃太郎が宿る前に。
「なんでですか」
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