第8話
わたくしは読んだことのない真鬼のために、彼女を隣に座らせ、あらすじを教えてあげることに。
桃太郎
"昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでました。
おじいさんは山へしばかりに、おばあさんは川へ洗濯に。
ある日おばあさんは川で大きな桃を拾い、家に持って帰りました。"
「大きな桃とは……不気味ですね。私なら持って帰りません」
……真鬼?
「……そうね。わたくしも持って帰らないわ」
……多分。
"桃を食べようして割ってみるとなんと中から男の子が。"
「真っ二つですか?」
……真鬼?
「寸止めじゃない?」
「寸止めですか」
"桃太郎と名付けられました。"
「まんまですね」
厳しいっ。
「そうね」
"大切に育てられ、すくすく大きく育ったある日、鬼ヶ島の悪い鬼の噂を聞いて"
「鬼ヶ島」
「そう、鬼ヶ島」
三界のどこにも属さぬ界、鬼の住む世界
"ここ"のことである。
「人間は鬼ヶ島のことを知っているのですか?」
「そのようね」
しかし問題はそこではない。
いえ、そこも問題なのだけれども。
「悪い鬼の噂って何だと思う……?」
「……わかりません」
まさか……刹鬼様のことじゃないでしょうね……?
そしてっ。
"鬼退治に出掛けることになりました。"
「ハァーン!?人間ごときが刹鬼様を退治するってぇ!?」
「奥様、落ち着いてください。書の出来事です」
真鬼に諭される。
「ごめんなさい」
刹鬼様のことかと思うととつい……。
"おじいさんおばあさんに羽織や袴、見事な刀を用意してもらい"
「刀?そんなものこの釘バットで真っ二つよ!!」
「奥様、カッコいい」
わたくしは部屋の中で、釘バットをブンブン振り回す。
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