第6話

真鬼side



私がお仕えしている奥様は美しく闊達な御方だ。



クルクル変わる表情はとても愛らしい御方。



無口で無表情、何を考えているのかわからないと言われる私とは正反対。



そんな私を侍女にして下さり、「真鬼、真鬼」と話し掛けてくださる奥様、丁様を私はお慕い申し上げ一生お仕えしたいと思っておりますが





「なんっじゃコリャアッ!?」




などと突然叫んだりなさるため、周りからは少々(多々)変わった奥様と思われたりもしております。



愛用する武器が釘バットというのも変わった奥様と思われる一端でしょうか。



さて、今日は何を叫ばれてらっしゃるのでしょう。



今日も楽しい1日が始まりそうです。




「奥様」



「真鬼!!ちょっと聞いてよっ」



「はい」







多鬼side



俺がお仕えしている旦那様の奥様は……


めっちゃくちゃ変な御方だ。



何故かいつも釘バットを持ち、変な叫び声や笑い声をあげることもしばしば。




「なんっじゃコリャアッ!!」




ほらな。



屋敷中に響いとるがな。



奥様は旦那様の前では慎ましやかで上品な良妻を演じているが、この屋敷に住む、働く者達は誰一人そう思ってはいない。



そしてそれは旦那様も。



奥様の全てをわかっている上で、年下妻をまるごと溺愛しているのだ。



今も奥様の叫びを聞いて「ククッ」なんて楽しそうに笑ってる。



結局のところ旦那様も変ってことだな。



見た目麗しく美しい美男美女の夫婦。



中身は変わってる者同士。



うちの主夫婦、最強ですか。




「楽しそうだな、多鬼」



「そうですか?」



「ああ」




今日も退屈しない1日が始まりそうだ。

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