第6話
真鬼side
私がお仕えしている奥様は美しく闊達な御方だ。
クルクル変わる表情はとても愛らしい御方。
無口で無表情、何を考えているのかわからないと言われる私とは正反対。
そんな私を侍女にして下さり、「真鬼、真鬼」と話し掛けてくださる奥様、丁様を私はお慕い申し上げ一生お仕えしたいと思っておりますが
「なんっじゃコリャアッ!?」
などと突然叫んだりなさるため、周りからは少々(多々)変わった奥様と思われたりもしております。
愛用する武器が釘バットというのも変わった奥様と思われる一端でしょうか。
さて、今日は何を叫ばれてらっしゃるのでしょう。
今日も楽しい1日が始まりそうです。
「奥様」
「真鬼!!ちょっと聞いてよっ」
「はい」
多鬼side
俺がお仕えしている旦那様の奥様は……
めっちゃくちゃ変な御方だ。
何故かいつも釘バットを持ち、変な叫び声や笑い声をあげることもしばしば。
「なんっじゃコリャアッ!!」
ほらな。
屋敷中に響いとるがな。
奥様は旦那様の前では慎ましやかで上品な良妻を演じているが、この屋敷に住む、働く者達は誰一人そう思ってはいない。
そしてそれは旦那様も。
奥様の全てをわかっている上で、年下妻をまるごと溺愛しているのだ。
今も奥様の叫びを聞いて「ククッ」なんて楽しそうに笑ってる。
結局のところ旦那様も変ってことだな。
見た目麗しく美しい美男美女の夫婦。
中身は変わってる者同士。
うちの主夫婦、最強ですか。
「楽しそうだな、多鬼」
「そうですか?」
「ああ」
今日も退屈しない1日が始まりそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます